景況感については不透明な状況が常態化してしまっており、今年も気付けば半分が終わろうとしているが中東情勢に振り回される時間が続いている。戦争終結に向けた動きが見られるも情勢は依然として不透明であり、この動きを受けてねじ関連でも一部在庫を積み増しの動きが見られ、また製品によっては代替品の検討するケースが散見されている。ナフサ不足が広範な影響を及ぼしている一方で中国政府による輸出規制を受けタングステンの供給がひっ迫しており、材料価格の高騰を引き起こしている。
中東情勢については終結に向け模索が続けられているが、日中関係は冷え込んだままで中国側は態度を硬化させており改善の兆しは望めない状況にある。問題が長引けば中東情勢と同様もしくはそれ以上に深刻な影響を及ぼす問題に発展しかねない。複数のマイナス材料が経済情勢に悪影響を及ぼしている中、米・トランプ大統領が再び各国に関税を課そうとする動きが見られており先行きは混とんとしている。
このような中で国内の景況感は半導体関連産業と観光・インバウンド需要を受けて穏やかな回復基調にあるという。日経平均は6万円を超え、あっという間に7万円が見えつつあるという未踏の相場となっているが株価の好調は実体経済から完全に離れてしまっているように見える。そして半導体関連株が極めて好調である一方、日本の代表産業でもある自動車関係は株価高騰の追い風をそこまで受けておらず今の世相が垣間見える。
日本のある自動車メーカーがセダンタイプの次世代EVについて開発中止を決めたニュースが話題を呼んでいる。報じられているところではEVに関する技術開発は継続するとのことだが、EV市場の成長鈍化を受けて開発リソースの振り向け先を見直したものと受け止められている。別の自動車メーカーが今年初めにEV戦略の転換に伴い当初黒字と見込まれていた決算を大幅に下方修正したことは記憶に新しいが自動車産業の潮目は静かに、しかし確実に変わりつつあると言って良いだろう。
2020年前後に始まったEV市場の活況は「100年に一度の大変革期」とも言われ、気候変動を受け環境負荷低減に対する関心が高まったことからここ数年は脱エンジンの動きが加速していた。ファスナーについてもクルマの電機・電子化、樹脂化といった新たなニーズに貢献する製品が注目されていた。しかしその陰では自動車産業の行く末が読めず、設備投資に悩むメーカーも多かったはずだ。EV開発中止の動きはクルマのあり方を定めるものなのか、それともまだ不透明な状況が続くのか行く先を引き続き注視したい。
