自然災害は防げないが備えは必要だ

2024年1月15日

 元旦に最大震度7の揺れを観測した能登半島地震では、改めて自然災害が時と場所を選ばずに発生することを痛感させた。被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
 被害の大きかった石川県をはじめ北陸3県は日本海側ではトップクラスの工業圏であり大手製造業が多く進出している。
 電子部品メーカーの1月4日時点の発表によると、グループ企業でパワー半導体を担う工場は、1日に災害対策本部を設置して状況確認を進めている。現地では余震が継続している状況で道路網の寸断や通信インフラ障害もあり、人的被害や各拠点の被害状況の確認作業に時間がかかっている状況という。
 石川県白山市に本社工場をもつモニターメーカーでは、1月4日時点で人的被害がないことを発表。本社工場は生産設備への被害は軽微で予定通り4日からの稼働を開始している。一方、七尾市にある製品に組み込む電子回路基板を製造するグループ企業の工場では、道路寸断や断水・停電などインフラ障害の影響により生産再開まで時間を要する見込みとした。
 自然災害を防ぐことはほぼ不可能であり、出来る事は被害を最小限に抑えるための準備や、被災した際のガイドライン等を構築しておくことだろう。いずれもそれは自然災害が発生することを見越して事前に備えておくことが前提となる。それでは事前に備えておくことは何か。
 まず、地域ごとの自然災害リスクを事前に評価し、それに基づいて危機管理計画を策定、また、サプライチェーンや生産拠点のリスクも評価し、代替の調達先や生産拠点を確保する計画を立てたい。災害時には、従業員の安全を最優先に考え、避難計画や安全な場所への避難訓練を実施する。従業員との緊急連絡手段を確立し、情報の迅速な共有を図ることも求められる。主要なサプライヤーとの連絡先を確保し、災害時にも円滑な情報共有ができているか確認しよう。
 また代替のサプライヤーとの契約を事前に結び、緊急時にはスムーズな切り替えができるように備えたい。生産拠点や倉庫においては、地震対策や防火対策などの設備を整備することも重要だ。機器やデータのバックアップを定期的に行い災害に備えたい。情報共有を円滑に行うため、従業員や関係者とのコミュニケーション手段を確保して、災害発生時には迅速で正確な情報を得るためのモニタリング体制の構築も求められる。さらに災害が発生した場合の迅速な復旧計画を策定し、関係者と共有すること、生産ラインやサービス提供の中断を最小限に抑えるための対策を検討し、それに基づいて復旧作業を進められるかも事前に準備したいところだ。

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