上場企業から見えるプラス要素

2023年9月25日

 今夏に発表された上場企業の四半期決算を分析すると、ファスナーというまとまった領域の業界において、EVや電子制御化にともなう精密部品の需要、安定した公共投資需要を取り込んだ企業業績にプラスの影響が見える。また製造・仕入れ原価の高騰分の価格転嫁を進めて増益に転換する企業が目立った。
 総合ねじメーカーでは、自動車向けにおいて、既存ラインナップの特殊セルフタッピンねじや新開発品がEVやバッテリー、センサ関連向けの需要により、自動車ユーザーの生産調整の影響を受けつつも需要が堅調に推移した。住宅建築向けもドリルねじやナットが需要を取り込み好調に推移。一方で弱電部品は資材不足の影響、IT関連機器向けは前期からの反動減で低調に推移した。
 建設市場においては労働者不足や設備投資の抑制、鋼材価格の高騰などの環境が厳しい中でインフラ整備の需要が安定的に推移している。建設資材のファスナーメーカーでは販売が前年比を上回り、ファスナー事業のセグメント業績で増収増益を確保した。一方、同じく建設資材メーカーでは、建設資材販売は安定的であったものの耐震関連工事の売上減が響いてファスナー事業のセグメントは減収になった。一方土木資材の事業については公共投資の底堅い需要にともない増収を確保している。
 自動車系の直需商社を見ると、国内はユーザーの生産回復等で増収の一方、仕入価格の上昇により利益を大幅に落とした。米国や欧州はユーザーの生産回復等に加えて円安に伴う為替換算プラス効果が大きく影響して売上を大きく伸ばした。一方中国は、市場でEVやPHVのウエイトが急速に高まっておりエンジン車やHV車を主力とする日系自動車メーカーが低迷しており売上利益とともにマイナスとなった。工具メーカーではセグメント全体では低調であったもののファスニング事業において国内外ともに省人化を目的にした自動化機器やシステム物件の引き合いが受注を伸ばしている。
 建設資材のメーカー商社では、鉄構資材のセグメントにおいて、公共投資や住宅投資の底堅い需要が業績をのばしている。鉄骨需要は中小物件向けが弱い一方で大型物件向けが好調に推移した。さらに製造原価や仕入先価格上昇分の価格転嫁を進めたことで増収増益を確保した。
 前述の通りプラス要素のキーワードにEVや精密部品、自動車ユーザーの生産回復、公共投資、大型物件投資、価格転嫁の推進などが挙げられる。サプライヤー側の企業にとって、これらプラス要素を分析した経営が求められる。

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