関心・知名度を上げられるか?

2023年8月28日

 8月も残り僅か。地域等によっては例外もあるだろうが児童・学生の夏休みももう終わりだ。このシーズンは子供連れ・家族向けのイベントが多く開催されていたが、今夏時評子は市区町村が開催するオープンファクトリーを取材し、参加しているねじ・ばね企業を取材した。
 なかなか見る事が出来ない工場内部を公開する貴重な機会のイベント。普段時評子は業界関係者と取材で話す機会こそ多いが、見学している一般消費者の視点や関心を聞いて回ると、子供に限らず大人でもねじ・ばねをはじめ金属加工品がどのように製造されているか知られていない事に気づかされる。
 試作・少量生産や高精度品だけでなく大量生産されるねじに対しても現在主流の圧造・転造ではなく未だに全て切削で加工していると思っていた例もあり、おそらくこれは戦後直後の復興期を舞台にしたドラマ劇中で旋盤を使用しているシーンからのイメージを引きずっていると思わされる。さらに鍛冶屋が炉から取り出してトンテンカンと鍛造しているイメージなのか太径な加工品以外に対しても金属=硬い=赤熱化させるほどに加熱しないと加工ができない、さらには製鉄所や鋳造のイメージなのか、線材・棒材という形状を経ずに〝るつぼ〟から取り出された直後の溶けた液状の金属から直接型に流し込んで成型されている―と考えられている節もあった。個人差はあるだろうが、それほど一般消費者には金属加工は知られていないと認識するべきなのだろう。
 その一方で関心の高い層がいる事も確かだ。
 インターネット上の某有名動画共有サービス内では「バラエティ」「商品紹介・レビュー」「ゲーム」「ビジネス」「音楽」「料理」等の様々なジャンルの動画が日々アップロードされているが、その中には「製造業・ものづくり」もあり、それを専門で投稿するチャンネルには一定の閲覧数・反響・支持がある。
 また或るねじ商社は近隣に小学校がある為、登下校中の小学生が敷地内のフォークリフトに興味を持った事をきっかけに、事業所に迎えての見学会だけでなく、学校に訪問しての社会科の授業を開催した例もある。
 そして昨年10月から12月にかけて千葉県立現代産業科学館(市川市)では企画展「ネジる ツナガる―モノ×ネジ×ヒト―」が開催され来場者も多く盛況で、小学生向けで開催した関連イベントもほぼ満席となった。
 世間一般へアピールして関心・知名度が向上しても、すぐには業界の地位向上といった効果が表れず、明確な効果も証明できないだろう。しかし〝裾野〟を広げていく事は無駄ではないはずだ。

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