コロナ禍の経済活動、「機械要素技術展」に期待

2020年9月7日

 コロナ禍は依然として予断を許さない状況が続いている。8月末時点では感染者数の更なる増加は見られずひとまずは落ち着いた様相を呈しているが、しかし新規感染者が連日500人以上出ている状況に変わりはなく、このまま感染者数が増加すればついに中国よりも累計感染者数が上回ってしまうという、年初当時からすればにわかには信じがたい現実が目の前に迫っている。政府は新型コロナウイルスへの対応について検査体制の強化をはじめ新たな方針を打ち出しているが、(既に撤回されたとはいえ)マスクの追加配布に財源を割いているような余裕はやはり無いはずだ。
 景気は依然として厳しい状況が続いているが、明るい話題も徐々に聞こえ始めているようだ。製造業の中で深刻な影響を受けていた自動車業界に関しては生産ペースを元に戻す動きが加速しており、あるメーカーでは8月がほぼ計画並みで推移したのに加え、9月は計画をわずかに上回る見通しとなっている。また半導体関連では特に中国向けにおいて引き続き旺盛な需要が期待されているほか建機、工作機械に関しても中国向けにおいては復調の兆しが見え始めたとのことだ。
 鋲螺業界においても例年の水準からすれば厳しい状況が続いてはいるが、梅雨明けから初夏にかけて顕在化した悪化傾向はそれ以上拡大することなくひとまずは底を打ったと見て良いのではないだろうか。あるボルトメーカーを訪れたところ、悪化傾向が明らかとなってからは厳しい数字を覚悟していたが「例年からすればもちろん数字は悪いが、(8月は)思ったよりも落ちなかった」というような話もあった。欧米、南米、南アジアといった他の地域がコロナ禍から直ちに回復する見込みが無い以上、当面はコロナ禍から一足早く立ち直っている中国市場の需要にけん引される形で推移していくものと思われる。
 ところでいわゆる「新しい生活様式」に合わせたマスク着用や手指の消毒といった対策は今やすっかりお馴染みのものとなったが、それらの対策を必要とする催し、例えば展示会の開催に関してはまだまだ消極的な状況が続いている。そんな中、今週中頃には名古屋において鋲螺をはじめ機械部品及びその加工技術をテーマにした「第5回名古屋機械要素技術展」が開催されるが、同展はコロナ禍における経済活動の姿を占う一つの試金石となるのではないか。同展のような日本でも有数の専門展が成功に終わったならば、鋲螺をはじめとした業界の関係者、ひいては国内製造業にとっての力強いエールになることだろう。同展の成功と関係者の無事を願いつつ、改めてコロナ禍が一日でも早く終息することを願いたい。

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