確保できるか?労働力

2021年10月11日

 街中で20代前半と思しき若者の一団が真新しそうなスーツを着て歩く姿が多く見られるようになり、学生の就職活動シーズンだと気づいた。
 1970年代後半から始まったと云われる少子化も既に約半世紀。需要の減少ばかりが取りざたされがちだが、企業にとっては市場に供給するのが形ある製品でも形なきサービスでも、それに必要な労働力も減少している事を忘れてはならない。勿論IT・ネットの普及をはじめとした技術革新で1人・1社当たりがこなせる業務量は多くなっていくが、完全無人にはならないだろう。
 今後どうやって労働力を確保していくか?従来以上に採用の間口を広げ、新卒一括でなく中途採用、女性、障害者、外国人、高齢者―と幅広くなるはずだ。
 中途採用の場合だと本紙が定期的に年度末に行っているアンケートにおいて、1年間の採用の内でおよそ正社員新卒採用1:中途採用2:パート・アルバイト:1―の比率だが、より一層、年度単位に捉われず中途採用の比率はさらに上がるだろう。
 女性活用の場合も男女雇用機会均等法が施行されて約半世紀経ち女性が家庭の外で仕事をし易くなった面とは別に、業務内容・給与面における差が解消しなかったり、男性が家事・育児・介護といった家庭の内で行われてきた〝仕事〟をし易くする風潮や体制構築が進まず、さらに現在は家庭と企業の労働力の取り合いの構図になってないだろうか?或るねじ商社は通販に特化している点を活かし宅急便の集荷時間となる15時頃までを勤務時間とし、仕事と家庭を両立しやすい体制としているが、男女とも家庭と両立できる勤務体制は今後の課題だろう。
 障害者雇用の場合、積極的なばねメーカーが「本人の〝適性〟や周囲の〝理解〟や〝協力〟が重要」と度々主張しているが、これは健常者も同じかもしれない。障害者に働きにくい職場は健常者にも働きにくい環境なはずだ。
 外国人雇用だと技能実習生の待遇が度々問題となっているが、そもそも祖国に帰って学んだ技能を活かす事が目的なのか?ただの出稼ぎ、そしてそれを知った上で安価な労働力としての雇用だったら本来の趣旨に外れている。
 高齢者だと先月の某総合酒類食品企業代表による「45歳定年制」が話題となったがとても実現可能とは思えない。老化は子供の成長以上に個人差が大きいはずで、労働意欲・体力があれば働くようにならないと企業としても大変だろう。
 そして最終的に重要なのは雇用の継続なはずだ。前述でどんなに採用したとしても継続しなければ意味がない。社員それぞれの身の上を考えながら中長期的に会社組織を維持していくのが今後の課題だろう。

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