長期化する戦争、世界経済の重しに

2025年9月15日

 9月も半ばとなったが暑さはまだ続きそうだ。しかし景気の方は冷え込むまではいかずとも盛り上がりに欠いた状態が続いている。国内の景況感を見るとインバウンド関連需要の恩恵を受けサービス業については好調で関西圏では大阪・関西万博が閉幕前の駆け込みも手伝って盛り上がりを見せる中一方、製造業については年の瀬が見えてきた中でも年初と概ね変わらない低空飛行の状況が続いている。米国との相互関税に関する交渉について概ね決着がついた後で何か好材料がある訳でもなく、依然として慢性的な人手不足が課題となっている状態だ。ねじ業界についても主要な需要家の動向に左右されるため同じく低空飛行の状態が続いているが、潮流の変化としては昨年から今年にかけて廃業やM&Aの話が聞かれるようになってきた。物価や人件費の上昇が続き企業が対応を迫られる今後も中少しずつ、しかし着実に業界企業の再編が進んでいくことが予想される。
 依然として続いている出来事として、ロシアがウクライナへ軍事侵攻を開始してから3年半が過ぎた。当初は国力の違いから長期化に伴いロシアが有利になるとの見方もあったが、現状はロシア軍がウクライナ領の一部を占領したまま膠着状態が続いており泥沼化の様相を呈している。有力な仲介者として注目を集め続けている米・トランプ大統領はこれまでにロシアとの停戦・和平交渉を実現するため対話を続けながら一方で経済制裁といった圧力をかけてきたがロシアにはエネルギー資源という強力なカードを有していることもあってこれまでのところ残念ながら目立った成果は出ていない。また和平交渉の条件としてウクライナは領土の割譲について譲らない姿勢を示している一方、ロシアは占領地の割譲を要求しており両国の溝は埋まる気配はない。
 このロシアによるウクライナ侵攻を契機として国際社会は政治経済の両面において先行き不透明で不安定な状況に置かれ続けている。歴史を振り返るなら先の大戦が終結してから世界経済は概ね資本主義と自由貿易を前提としていた。しかし平和から遠ざかるにつれて世界から自由主義の色が薄まり、代わりに文字通り自国の権益や国民を守るという意味で保護主義的な色合いが強まっている。その意味では戦争が終結しない限りコロナ禍前にあったような景況感はもはや望むことができないのではなかろうか。ウクライナが自衛のためロシア領内への攻撃を新たに計画しているとの報道も出る中、戦争を更に激化させないためにも対話の場が開かれ続けることをまずは願いたい。

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