悪化続く景気、最適なバランス探ろう

2020年8月10日

 第二波が懸念されている。感染が拡大した3月頃、一部では夏季になれば感染力が減衰されると期待する向きもあったが現在ではむしろ連日のように「過去最多」のテロップを目の当たりにする羽目になっている。
 長らく感染者がゼロとされていた岩手県でも感染者が確認され、また政府が主導する「Go To トラベル」キャンペーンによる継続的な人の往来がある以上第一波の時よりも感染リスクは高まっていると言えなくはなかろうか。
 コロナ禍を受けた経済活動の停滞はおそらく当初市場が想定していたよりも長引いており、特に7月中旬以降には悪化傾向が明確に顕在化してきた。以前小欄で在阪ねじ商社の業況について「対前年比で概ね1割を超える程度の減少」と触れたが、6月を過ぎて7月中旬以降、特に8月に入ってから「2割の減少」と回答した企業が複数現れてきた。
 そして総じてみれば市場に良い材料はほぼ見当たらず、一部半導体業界では中国向けが伸展しているが他方鋲螺業界でも関りが深い自動車業界を見ると好材料どころかむしろ自動車メーカーによる部品価格の引き下げ要請が報じられる有様だ。
 また製販の活動とは別に、新型コロナウイルスの影響を受けて鋲螺及び製造設備など関連設備をテーマとした展示会が軒並み中止となってしまい「PRの機会が無くなってしまった」と嘆く声もある。代替案として社内でPR用の動画を制作して営業ツールとして活用するなど各社で模索を続けているようだ。
 なお展示会に関しては10月への延期が決まっていた台湾・高雄のファスナーショーが来年9月に再延期となったほか、「MF―TOKYO」についても残念ながら来年度の開催を中止する形となってしまったがその原因としては新型コロナウイルスの影響と、東京オリンピックの開催延期により会場確保が困難となったことが挙げられている。
 特に首都近郊ではオリンピックが開催されるかどうか曖昧な状態が続いていることから関係する建築物件の工事スケジュールが決められないとの話もあり、「いっそのこと中止を決めてくれたらモノも動き出すのに」というぼやきの声も聞かれている。
 「皆が感染してもいいから経済を回そう」と言いたいのではないがコロナ対策、そして五輪の有無にしてもこれ以上後手の対応を続けている余裕はもはやない。
 残念ながら感染者に対するバッシングが未だに続いているとのことだが、全国どこにいようと誰もが感染者になる可能性がある以上、活動と規制のバランスを感情的にならず冷静に分析する時が来たのではないか。

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