いつも金属産業新聞をご愛読いただき、誠にありがとうございます。おかげさまを持ちまして、弊社は今年創業80周年を迎えることができました。長きに亘りファスナー業界専門紙の発行を続けてこられたのは、業界の皆様お一人おひとりのご支援とご協力が大きな支えとなっていたからこそと、改めて深く感謝申し上げます。
創業者である大槻喜一は、戦後間もない1946年、本紙を創刊いたしました。当時の日本は戦災や疎開により、人も企業も消息や拠点が途絶えていた混乱期でした。大槻は業界関係者の方々から「四散してしまった業界復興のために」と強い後押しを受け、金属産業新聞を発行いたしました。特定の業界情報に特化した「専門紙」というカテゴリー自体が異端とされた時代のことです。その後も、技術向上を目的とした専門誌「ねじと技術」の創刊(1960年)や、ねじと並び機械要素として不可欠なばねに着目した「ばね産業新聞」の発刊(1971年)など、業界の発展とともに歩みを広げてまいりました。
80周年という節目を迎え、私たちは当時の会社の原動力であったであろう「ねじ産業の発達なくして、機械産業の発展はあり得ない」という創業の精神に改めて立ち返り、これからの時代に求められる新聞づくりに励んでまいる所存です。
現在、我々を取り巻くものづくりの現場は、従来のコスト競争からの脱却や高付加価値化への移行をはじめ、深刻化する人手不足、多品種少量生産の省力化という難題、さらには国内市場の縮小とグローバル展開や、サプライチェーンとして問われる機能、「モノ売り」から「コト売り」へのビジネスモデル転換など、多様な課題が複雑に絡み合う大きな変革期を迎えています。
こうした時代の要請に対応すべく、弊社は10年前の70周年時に掲げた「部品と人をつなげる新聞」というサブタイトルを、よりシンプルかつ明快に表現した「つながる新聞」へと改定いたしました。我々は単に情報を一方的に届けるだけでなく、紙面を通じて人や企業がつながり合うメディアでありたいという想いを込めております。
この10年間、「つながる新聞」として推進してきた重点取り組みの一つが、ユーザー層をはじめとする近接業界との接点強化です。本紙の報道内容を川上から川下まで幅広く届けるため、日本経済新聞社の記事データベースサービス「日経テレコン」や、米国ダウ・ジョーンズの「Factiva」へ記事提供を行ってまいりました。自動車、機械、建設、鉄鋼、商社といった大手主要企業にまで本紙記事が届く体制が整いました。近年では、これらの記事をAIで分析・活用する生成AIサービス「NIKKEI KAI」等へのデータ提供も開始し、情報の浸透力と利便性を一層高めております。
もう一つの取り組みが、海外ファスナー業界との連携強化です。米国「Fastener Technology International」、ドイツ「Fastener Europe Magazine」、英国「Fastener + Fixing Magazine」、台湾「Fastener World Magazine」の4誌と提携を結び、相互記事交換を通じて国際情報の発信力・受信力を飛躍的に引き上げてまいりました。これらの基盤を通じて、本紙の取材対象者や読者、さらにその先にいる近接業界や海外業界との「つながる新聞」を一層強化してまいります。
また、2018年に開始した電子版「キンサンデジタル」は、紙面閲覧のみならず、弊社ニュースサイトからの最新ニュースや統計データの全文購読、過去記事のキーワード検索機能を備えて「知るから調べる」という新しい価値を加えたクラウド型情報サービスとしてご活用いただいております。紙版購読者の皆様にはお得な「電子版プラス」プランもご用意しておりますので、ぜひこの機会にご利用をご検討ください。
そして今回、こうした情報発信基盤を「業界共通のインフラ」として活用し企画したのが、紙面上の展示会「キンサンEXPO2026~新技術・新サービス展~」です。かつて1960~80年代、弊社は東京・晴海の見本市会場にて「ねじ機械展・ファスナー展」を主催しておりました。自ら場を創出し、業界全体を活性化させるという専門紙本来の精神に立ち返り、「つながる新聞」の媒体力を活かして、毎年各社が新技術や新サービスを発表できる新たなプラットフォームとして本企画を育ててまいります。
今後も業界の発展に寄与する有益なメディアであり続けるよう、社員一丸となって精進してまいります。変わらぬご愛顧とご指導ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。(㈲金属産業新聞社・取締役社長/編集長=大槻隼一)
