「CADDi DRAWER」富士油圧精機の導入事例、図面介して情報を資産化

2023年5月22日

 キャディ㈱(東京都台東区、加藤勇志郎社長)の図面データ活用クラウド「CADDi DRAWER」(キャディドロワー)を昨年10月より導入している富士油圧精機㈱(群馬県前橋市)の活用事例を探った。取材を通して図面管理に留まらず、図面を中心にしてあらゆる情報を資産として活用できる可能性が見えてきた。
 富士油圧精機は、印刷機械関連装置や製本機械ラインのメーカーだ。最近では国内外で人気のトレーディングカードのメーカー向けにフィーダ機械も製作している。他製造業と同様に、同社でも業務の属人化や、組織内で連携や共有が上手くとれない、紙ベースでのアナログ管理など課題だった。
 こうした中で同社は部署間の業務を横断している図面に注目。PDFや古いものでは紙で保有している大量の図面は、探すだけでも相当な時間を要していた。当初はこうした過去図面を簡単に探すことだけを目的に、想定で約50万枚あるという保有図面のうち使用頻度が高い15万枚の図面登録を昨年10月に開始した。
 キャディドロワーは図面にある形状や文字情報をAIやOCR等を活用して自動で読み取りデータ格納する。キーワード検索すれば、その企業が登録した図面の中から品番、材質、表面処理といった情報を自由にキーワード検索が可能だ。さらに独自の画像解析アルゴリズム(特許出願済)により類似図面を高精度に検索することができる。これにより、これまで長い時間を要していた図面探しを瞬時にできるようになる。同社では、他部署からの問い合わせの度に図面を探す負担が大幅に軽減、類似図面を探せずに新規で図面を起こすといった手間がなくなり、検索時間は例えば20分要していたものが1分に短縮するなど大幅な効率化を実現した。
 第2製造部製造技術課で働く齊藤彩乃さんは、業務負担が大幅に軽減できた社員のひとり。齊藤さんの業務は、図面に記載の形状と交差指定を踏まえて加工する機械や方法を想定して「部品がいくらで作れるか」を見積もる仕事だ。この部署では原価見積から加工プログラムの作成や現場作業への指示出しまでを行う。導入によって、過去の類似図面から簡単に引き出せるようになりゼロからの見積もり作業が減少。現物図面を扱わなくなったためテレワークが可能になったほか、入社14年目のエキスパートである齊藤さんの過去実績を図面を介して経験の浅い社員がアクセスできるようになった。
 現場各所でも改善が進んでいる。第一製造部ではこれまで組付け時に詳細図面を印刷して現場に持ち込む必要があったが、手元のタブレットでシステムにアクセスして簡単に確認できるようになった。営業は顧客先でレイアウト図面を取り出せるようになり、設計は新規図面の抑制と工数の削減により本来の設計業務に特化できるほか、部品の標準化にも貢献できるという。システム上で、図面に営業担当者や納入日、施工責任者や他部署への要望などを付加してあらゆる情報を共有するといったアイデアも現場の中で生まれた。
 キャディドロワーを自社のDXの要として推進してきた剱持卓也第2工場長は次のように話す。
 「メーカーとして図面を沢山保有することは良いことだと思っていたが、新図を起こすと後工程も含めて膨大な時間を要することになる。図面の検索を容易にして、さらにあらゆる情報を図面に付加することで〝情報を資産化〟できる。当社での費用対効果は3倍と試算している。図面を扱う基幹インフラとして当社だけでなくあらゆる製造業が使用して世の中に広まってもらいたい」。
 キャディでは今年1月に大量に保有する紙図面をデジタル化する代行サービスを付加した「CADDi DRAWER紙図面デジタル化パッケージ」の提供も開始している(本紙既報)。図面を介して様々な社内情報を集約して資産化できる基幹システムとして活用できるのではないか。
 (取材=東京本社・大槻)