計測・検査装置の最新技術から成長の鍵を

2023年3月20日

 計測・検査装置を2週にわたって特集する。高度化する品質ニーズに対応するための計測・検査装置の最新動向を探る一助になれば幸いだ。
 メーカーでは有力企業を中心に開発部門の強化にともなう試験設備の投資が盛んだ。自動車産業では電動化への大きな変革期を迎え、サプライヤー各社が既存製品の減少を見据えて、新たな領域への開発を進める動きが見える。自動車部品で培った技術を活かして自動車以外への領域に参入するため開発を強化する動きも見られ、メーカーの開発機能の保有・強化は生き残りを図るうえでの戦略のひとつとなっている。このうえで試験設備や計測・検査装置への投資は増加すると見られる。
 商社ではサプライヤーからの製品を自社拠点の部門で品質保証を行うための積極的な投資が近年で見られる。国内外から供給される製品を一手に品質保証部門で担うことでファブレスとしての機能を強化する狙いもあるようだ。大手卸商社では、物流拠点における搬送、ピッキング、パレタイズといった工程で省力化を図るうえでのロボットや画像処理システムなど自動化技術への投資を図る動きも見られる。
 製品の検査・計測のほか、モノをつかむ、位置の補正などの分野では、三次元画像処理システムが活用されており、今後ファスナー業界への採用も広がってくるのか注目される。㈱富士経済の調査によると、三次元画像処理システムの世界市場は2025年に20年比で165・1%増の3914億円まで成長すると予測している。
 ファスナー業界で浸透している画像処理システムを活用した装置には画像処理選別機がある。本特集でも各社で特長のある最新製品を取材することができた。
 この分野ではディープラーニングによる不良検査の高度化、例えば人間では判別できないような不良箇所の検査、または装置にOK品を流して学習させることで高度で複雑な設定を行わず検査できるといった大幅に省力化できる可能性のある技術も一部取材を通して見えてきた。寸法や形状様々な製品がある中で、自社製品の最適な検査を行なうために装置の内製化に注力しているメーカーもある。
 計測・検査工程そのものの自動化・IoT技術も発達している。ロボット搭載による給排出の自動化、また入力データを装置から直接無線送信して集約、品質管理システムに一元管理するといった技術も高度化が進む。この分野の進化により計測・検査工程のインライン化への可能性も広がるのではないか。
 品質ニーズは高度化することがあっても減退することはない。製品の高付加価値化を担う計測・検査工程。最新技術から成長の鍵を探りたい。

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