設備・自動化需要は経済成長の目安

2022年10月24日

 ビッグマック指数―。世界的大手ハンバーガーチェーン店の商品が同じ製造工程や仕様で作られていたとしても、販売している国・地域の原材料費・人件費・水道光熱費といった様々な経済的要素を含んで製造・販売されており、その国・地域の物価・人件費の目安となる事からできた経済指標だ。
 これは一般消費者向けの製品・商品だからこそイメージし易くて目安となっているが、この指数が上昇するという事は、それに伴い他の多くも価格が上昇しているはずだ。
 本号では「JIMTOF2022」を特集しているが、或る企業を取材した際にこのような旨で近況を話していた。
 ―日本国内だけでなくアメリカやベトナムといった外国にも設備機器を営業しに出張しているが、現地の企業が導入するか否かを検討する際に同様の作業を従来通りの設備と人(従業員)が行った場合と、この設備を導入した場合の作業効率向上と省力化、そして設備導入にかかった費用を従来通りと比較して何カ月・何年分で〝元が取れる〟か費用対効果を換算して鑑みる事が顕著になっている。
 新興国へ出張した際の企業は同じ機種を数十台単位で導入を検討しており、これは人件費だけでなく同時に物価も高騰して経済成長がめざましい事の表れのはずだ―。
 そう、物価・人件費が高騰していれば専門業者向けな設備機器の導入に積極的になるのも自然な流れだ。逆を言えば消極的な国・地域、さらに企業は人件費が低い・物価が安いままで、順調に経済成長が出来ていないと言える。
 そして今回の展示会に限らず、最近では大手ロボットメーカー以外にも中小設備機器メーカーが前述のメーカー製ロボットを持ち込んで、ブース内で自社の設備とロボットを連動させて自動化運用する事を提案する事例も増えつつある。
 すでにロボットは昔のように自動車をはじめ大規模な工場に限らず中小の工場でも使えるほど技術的に進歩している点もあるだろうが、普及しつつあるという事は人(人件費)に対してロボットの方が相対的に安くなった表れともいえる。
 そして円安が進行して10月中旬時点で円相場が1㌦=149円台となって、日本国内では輸入・外国生産に頼っている製品・商品の値上がりが顕著な一方、賃金(人件費)は伸び悩んでも比較的現状維持できているように見えるかもしれないが、ドルで換算したら〝日本の労働力の価格〟は低迷といってもいい。
 設備機器やロボット・自動化に関わる展示会の盛況具合をはじめ、需要が高まり導入に積極的となる事は順調に経済成長出来ている証明であり、望ましい事だ。

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