ポストコロナ、模索が続く一年に

2022年1月3日

 令和4年の「新年特集号」をお届けする。変異株こそ出現しているが発生当初に比べればコロナ禍への順応は随分と進み、治療薬の開発も進んでいることから今年は昨年以上に人の交流が活発となるものと思われる。カーボンニュートラルをはじめSGDs推進の声が日増しに大きくなる中、新しい産業の形を模索する時間が続くだろう。国内経済については昨秋以降力強さが戻りつつあり、建築・土木、住宅といった鋲螺業界における主要な需要家分野において回復傾向が見られている。他方、一部メーカーにおいて年末以降挽回生産に入ると見られていた自動車産業は力強さを欠いており、関連メーカーに話を聞いても「期待していたほど増えていない」と後ろ向きな反応だった。
 このような景況感について、昨年12月に日本政策金融公庫により実施された「2022年の中小企業の景況見通し」調査を見ると興味深い結果が示されている。同調査の中で22年の売上(前年比での見通し)を尋ねた個所があるが、需要分野別の売上高DIでは建設関連、設備投資関連その他衣食関連分野といった幅広いにおいて21年よりも増加する結果だったのに対し、「乗用車分野」「電機・電子関連」の2分野のみが21年比で減少する結果となっていた。もしこれが現下のコロナ禍を反映した評価だったとすればコロナ禍の状況によっては22年もやはり厳しい時期が続くということになる。
 しかし不安要素はそれだけではない。同調査では「経営上の不安要素」を尋ねた個所があるがその中では「新型コロナウイルス感染症」が3番目に多く、2番目に多い「国内の消費低迷、販売不振」を抑え、「原材料、燃料コストの高騰」がトップとなっている。特にメーカーにとっては企業の継続に直接関わる死活問題と言っても過言では無いだろう。メーカーだけでなく商社においても昨年は複数回にわたる価格改定に追われる一年となってしまった。業界全体の健全な発展のためにも引き続き需要家に理解を求めていく必要があるだろう。
 読者諸氏もご承知の通り、昨年もまた新型コロナウイルスに振り回された1年となってしまった。欧米諸国を中心にワクチンの接種率が進んだことからそのまま回復に向かうかと思われたが、変異株の出現により先行き不透明な状況に逆戻りしてしまった。国内では昨秋以降小康状態が続いているが世界を見れば依然として厳しい状況にあり、今年もまた「コロナ」の3文字をそこかしこで見かける年になるのは間違いない。引き続き感染防止対策は徹底した上で、昨年よりも業界内で多くの交流が生まれることを望みたい。

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