眠っている商機を呼び起こそう

2021年7月5日

 事業再構築補助金の第1回公募の採択結果が公表された。採択企業の計画概要からは採択されやすい案件の傾向が見える。
 事業再構築補助金はコロナ禍の経済社会の変化に対応するために、新分野への展開や事業転換、業種転換、業態転換など思い切った事業の再編に取り組む中小企業を支援するために新たに整備された補助金だ。補助金額は条件によって補助率2/3で最大1億円の枠もあるほか、緊急事態宣言の対象地域となった企業を支援する特別枠も整備されている。これまでの中小製造業の代表的な補助金である「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(通称:もの補助)に比べても補助金額の規模が大きい一方で、採択のハードルの高さは、もの補助より上と伺える。
 採択の条件である大きな事業転換とは何か。採択企業の事業計画書の概要を見てみよう。例えばコロナ禍で苦戦を強いられているホテル産業では、客室のスペースを活用して、レンタルオフィスやテレワークルーム、撮影スタジオに転換するといったアイデアがあった。既存製品・サービスを横展開するというよりも、自社のインフラや環境を活かしながら、まったく新しい事業に取り組むことが、それに当てはまるのではないか。
 これまで自動車産業向けにファスナー製品を供給してきたメーカーが、半導体産業向けの製品を開発するといったアイデアは、内容にもよるだろうが、事業再構築補助金で採択されるにはインパクトが弱いかもしれない。今ある設備環境、販売ネットワークなどあらゆる資産を活かした画期的な事業展開が好まれそうだ。
 弊紙でもこれまでファスナー企業の思い切った新事業を取材してきた。ある商社ではマグロなど日本の食品を東南アジアの支店に輸出して現地の日本食レストランや一般家庭に販売する事業が、コロナ禍の巣ごもり需要により好調に推移している。同社では、これら事業も含めて売上の柱を分散できる体制を目指している。
 自動車向けファスナーメーカーでは、EV向けの充電スタンド事業を展開するベンチャー企業を設立した。既にゴルフ場や高級ホテルへ導入されておりIoTなどスマート技術を活かしながら、充電インフラ市場での成長を視野に入れている。
 ファスナー用の梱包資材を扱う業者では、段ボールの破材をうまく再利用できないかと考えて、コロナ禍の時間を有効活用してペット用ハウスを開発。人気となり商品化された。既に保有している資産をうまく活用した商機は意外に身近に眠っているかもしれない。呼び起こしたい。

バナー広告の募集

金属産業新聞のニュースサイトではバナー広告を募集しています。自社サイトや新製品、新サービスのアクセス向上に活用してみませんか。