見過ごせない消費増税の影響

2021年3月8日

 2月15日に2020年10―12月期の国内総生産=GDPが経済産業省より発表された。
 今までの20年1―9月期は前年同期となる19年1―9月と比較した場合、19年が消費税増税前と新型コロナウイルス感染症拡大(以下「コロナ禍」と略)前に対し20年が消費増税後とコロナ禍中―だった。
 しかし今回の20年10―12月期は、19年が消費税増税後とコロナ禍前に対し20年が消費税増税後とコロナ禍中―であり、前後の時期や前年同期で比較して消費税増税の影響が推測し易い期間となる。
 改めて日本におけるコロナ禍の影響はいつ頃からかと定義するなら、感染者は2019年12月に中国湖北省武漢市で確認されはじめたが、日本での感染者は20年1月中旬に武漢市への渡航歴のある患者が確認されたのを最初の事例として、各地で感染が確認されはじめた。
 そうすると日本での社会・経済への本格的な影響はその後であり、時評子の周辺でも20年2月3日の節分は近所の神社で豆まきが行われる等、行事・イベントは参加者が自主的に警戒しながらも開催されており、2月中旬以降に開催された製造業向け展示会では主催者がマスクを配布等で対策を始めて来場者が減少していた。
 つまり日本国内で経済的な影響は20年2月上旬までは殆ど無かったといっていいだろう。そして影響があったのは20年4―6月期がピークで、現在でも外食・娯楽産業を中心に各産業に影響は続いているが、7―9月以降は対応が進み徐々に経済への影響が減っていったと考えられる。
 今まで、そして今回発表されたGDP(実質、速報値、支出側)を調べると、2018年1―3月期140兆1488億円(前年同期比1・4%増)、4―6月期135億5728億円(同1・2%増)、7―9月期136兆9440億円(同0・2%減)、10―12月期141兆6350億円(同0・2%減)。
 2019年1―3月期140兆5974億円(同0・3%増)、4―6月期136兆3602億円(同0・6%増)、7―9月期138兆7611億円(同1・3%増)※消費増税前の駆け込み需要が推測される、10―12月期140兆803億円(同1・1%減)※10月の消費税増税の影響が推測される。
 2020年1―3月期137兆7201億円(同2・0%減)※2月以降本格的にコロナ禍の影響が推測される、4―6月期122兆3222億円(同10・3%減)、7―9月期130兆7253億円(5・8%減)、10―12月期138兆4205億円(同1・2%減)―と推移。
 2019年は7―9月期まで前年同期比で増加してきたが、10―12月期から前年同期比減に転じている。
 コロナ禍はワクチンの開発・接種・普及で収束の目途が立ちつつある。しかし消費税はコロナ禍で見過ごされがちだが、これからも経済に悪影響を与えていくのだろう。

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