デジタル化目指す社会、コロナとの共存進むか

2020年11月2日

 今年もついに残すところあと2カ月となった。改めて述べるまでもなく、今年は新型コロナウイルスに世界中が振り回された一年となりそうだ。「今年の漢字」は「禍」になるだろうか。また小欄では何度も触れたことではあるが、コロナ禍を受けて国内では従来通りの仕方で社会活動が行えないことからデジタル技術の活用が大きく進み、リモートによる会議や面談、在宅勤務、設備の納入立ち合い、ウェブセミナー、展示会といった新たな取り組みが数多く見られた。新政権も他の先進諸国に比べて大きく遅れているとされる日本のデジタル化推進に向け注力する姿勢を見せており、今後デジタル技術の活用はますます普及するものと思われる。
 加えて最近ではインターネットによる広報活動及び営業活動に注力する企業が見られるようになり、鋲螺業界においてもあるナットメーカーでは先月自社開発の緩み止めナットについて情報発信を目的としたウェブサイトを新たに開設しているほか、また別のねじ商社は自社のECサイト内にドリルビスについて同じく情報を発信するウェブページを開設している。また、ある在阪ねじ商社や機械メーカーでは自社で動画を撮影して、Youtubeを通じて公開するなど各社で新しい営業方法の模索を続けている。残念ながら依然としてコロナ禍が終息する見通しが立たない以上、非対面でコンテンツを活用した営業活動が増えてくるものと思われる。リモートを活用して遠方から展示会の説明員を務めたある関係者はリモートでの活動を将来への投資と捉えていると答えたが、「適者生存」ではないが変化しつつある社会情勢に適応しようとする努力は今後も必要になるだろう。
 新型コロナウイルスの感染者数は9月以降横ばいとなっており、1日あたりおよそ500人から多い時で約700人が新たに感染している。この数値は3月から5月にかけて列島を襲った第一波のピーク時とほぼ同じ数値であるが、政府はいわゆる各種「Go To」キャンペーンを中止することなく展開している。「Go To トラベル」に「Go To イート」、そして先月末からは「Go To イベント」も動き始めており、新型コロナウイルスとの共存に向けて国内全体で動き出したと見て良いのではなかろうか。先月政府が年末年始休みの延長要請を出したこともあり、一部の観光地では宿泊施設の予約が既に埋まっているとの話も出ている。もし何事もなくこれらのキャンペーンを終えることができたなら日常には随分と賑わいが戻ることだろう。いよいよ後はワクチンの完成を待つばかり、と考えるのは早計だろうか。経済回復に向けて更なる活動に期待したい。

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