業界企業の減少、再編の動き加速か

2026年7月20日

 中東情勢はようやく落ち着きを見せつつある。今年2月末にアメリカ・イスラエルの両国が攻撃を開始してから4カ月半が経ち、封鎖されていたホルムズ海峡も安全な通航が行える環境が戻りつつある。原油価格も戦争前に戻りつつあるというが、この中東危機は国家間の武力衝突に収まる出来事ではなく、原油の調達ネットワークという我々が大きく依存しているシステムのあり方そのものを変えてしまった。多くのものは二度と元には戻らないだろう。
 調達ネットワークでいうと、鋲螺(ねじ)という製品は多くの流通経路を経てメーカーからユーザーの手元に届いている。流通商社の中でも元卸、二次卸あるいは直販といった経路があり、これら安定供給を担う流通ネットワークがあってこそモノづくりに欠かせない“産業の塩”としての役割を果たしてきた。しかしこの流通ネットワークのあり方が変わったなら、もしネットワークの担い手が減少したならば各社の仕事はどのように変わるだろうか。廃業やM&Aにより企業の再編が進む中、自社の役割や仕事の範囲を再定義する時がやってきたように見える。
 中小企業の倒産件数は21年を底として近年は増加傾向が続いている。大手信用調査会社によれば昨25年度の倒産件数は前年比3・5%増の1万425件となっており、4年連続で前年度を上回る結果となった。一方で近年はM&Aも増加傾向にあり、この業界でも企業の買収やグループ化といった話が頻繁に聞こえるようになってきた。特にコロナ禍以降、鋲螺業界に限ったことではないが業界企業の数は減り続けていると言えるだろう。その背景としては近年のインフレ傾向に加え、高齢化や後継者不足、働き手の不足といった日本を取り巻く課題が確実に影響を及ぼしている。
 業界内で企業の数が減れば残った企業に仕事が集まっていくと考えて良いだろう。その際は単に仕事量が増加するだけでなく、サプライチェーンの川上に近かった企業が川下に近い企業の仕事を引き継ぐといった、流通ネットワーク上の役割も同時に担うことになる。つまりそれは、残った企業は単に仕事量の増大に対応するだけでなく、これまで自社では対応していなかった仕事の知見やノウハウを身に着ける必要に迫られるということではないか。この点からも生産性の向上や業務の効率化は喫緊の課題だと言える。何故なら付加価値の向上という点に加え、残された企業は全く新しい役割を担うための余力を残しておく必要があるからだ。
 中東危機の影響を受け物価高騰が加速する中、先行き不透明でありながらも企業を取り巻く環境が確実に変わっている中業界企業はサプライチェーンの再編に直面している。近年生成AIの進歩が著しいが、次世代の人材を確保すると共に新しい情報技術も取り入れながらこの変化に対応していく必要がある。

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