今年に入ってイラン情勢の緊迫で石油供給の懸念が広がり、備蓄はあるとはいえ資源立国でない技術立国の日本の弱みを改めて認識させられる。
資源と技術は国家経済を支える二つの柱である。資源立国はエネルギーや鉱物といった基礎的資産を持つことは国際市場で一定の交渉力を持つ。一方、技術立国は高付加価値の産業を生み出し、資源を加工・高度化することで富を生み出してきた。しかし両者にはそれぞれ固有の強みと弱みがある。
資源立国の脆さとしては資源収益は国家財政を潤すが、政治や利権と結びつきやすく、富が特定の地域や勢力に偏る危険がある。さらに資源価格は国際市場の変動に大きく左右されるため、依存度が高まるほど経済の安定性は揺らぎやすい。資源は国力の基盤であると同時に、国家運営を歪める要因にもなり得る。
一方で技術立国の弱点は、資源供給の不安定さに左右されやすい点だ。エネルギーや原材料が滞れば、どれほど高度な産業基盤を持っていても経済活動は停滞する。また技術の競争力は継続的な研究開発投資と人材育成に依存しており、開発が止まれば優位性も急速に失われる。
こうして見ると、資源立国と技術立国はいずれも一長一短である。その意味で、資源と技術の双方を兼ね備えるアメリカのような国家は極めて強い。豊富な資源と高度な産業基盤を併せ持つ国が、国際経済だけでなく政治や軍事で優位な地位を維持しているのは象徴的だろう。
日本でも南鳥島沖のレアアースや尖閣諸島周辺の石油・ガスなど、海洋資源の可能性が指摘されている。仮に開発が進めば資源安全保障の面で一定の効果は期待できる。ただし資源を経済の主役に据えるべきではないだろう。資源収益は消費ではなく、教育や研究開発、産業基盤への投資に回し、経済の多角化を支える「補完的な財産所得」として扱うことが望ましい。
さらに言えば、資源は鉱物だけを意味しない。食料も人口も国家にとって重要な資源である。食料自給力は非常時の安全保障であり、農業は採算だけでは測れない戦略的な意味を持つ。また人口は人的資源として経済と技術力の基盤を支える。人口減少が進む日本では、人材育成と活用の制度を整えることが技術立国の持続性を左右する。
結局のところ、国家の強さは単一の資源では決まらない。鉱物資源、食料、人口、そして技術といった複数の強みをどれだけ持ち、それらをどう活用するかという戦略にかかっている。仮に日本が資源を手にしたとしても、それに依存するのではなく、国家全体の資本を強化するために使うことが重要だ。
