中東情勢の悪化、景気後退を懸念

2026年3月16日

 ロシアによるウクライナ侵攻が5年目に突入する中、今年は戦火が更に拡大する年になるのだろうか。年始から米国がベネズエラを攻撃するなど不穏さが漂っていたが、米国・イスラエル両国によるイランへの軍事作戦が始まったことで不透明さが一層増す形となってしまった。この軍事衝突を受けてエネルギー供給の要所とされるホルムズ海峡が封鎖されたことにより原油価格が急騰し、株価も一時は軒並み下落するなど市場に大きな動揺を与えている。また中東のハブ空港が機能を停止したことにより移動が制限されるといった弊害も起きている。米国のトランプ大統領は今回の作戦について4週間必要とする見通しを示しているが、泥沼化する可能性も残されており今後の影響が懸念される。
 国内の景況感は依然として盛り上がりに欠ける状態が続いているが、大手調査会社による発表によると2月の国内景気は2か月ぶりの増加となり半導体や自動車分野をはじめとした製造業が押し上げたとしている。マイナス分野としては宿泊業が大きく悪化したとしているが、インバウンドへの影響といえば中国との関係は冷え込んだままで改善の兆しは見えずにいる。中東情勢が緊迫する中、エネルギー供給という新たなリスクが顕在化する一方で明るい材料は見当たらず、景況感としては良くて現在の水準でエネルギー供給網が不安定になれば景気は今よりも後退する公算が大となるだろう。適切な経営判断を下すためにも中東情勢についてはしばらくの間注視する必要がある。
 景気回復が望みにくい状況の中ではあるが、低調な需要とは裏腹に人件費を含めコストの上昇は依然として続いている。日本は長らく物価及び給与所得が横ばいの状態が続き「失われた30年」とも揶揄されてきたがコロナ禍に始まる2020年代の変化はそんな日本のあり方にも確実に変化を及ぼしている。本紙では3月2日付号にDXをテーマとした特集を企画したが、鋲螺業界においても製造のあるいは物流の現場で、または営業活動にデジタル技術を取り入れる動きが着実に進んでいることが確認できた。
 少子化による労働人口の減少に対して警鐘が鳴らされて久しいが、最近の調査では女性や高齢者が働き手として加わったことでむしろ国内の労働人口は増加傾向にあるとの結果が出ている。終身雇用制度は若い働き手を採用し、時間をかけて育てるという前提のもと設計されたシステムだがこれからは老若男女問わず、国籍も問わず等しく活躍できる環境の構築が求められる。企業の形を保つのはどこまで行っても人であり、人がいなければ組織は枯れてしまう。組織の新陳代謝を保つため多様な働き手が活躍できる場の構築は今後も急務となるだろう。

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