26年が始まって一月半が経ったが、景況感としては昨年の低調な状態が継続しているといって良いだろう。自動車分野は一部メーカーの売上が堅調であるほか、人件費の高騰などを受け省人化や自動化のニーズが高まっているのを背景にロボット分野も好調であるようだ。ただ物流・建設を筆頭に多くの産業分野は慢性的な人手不足に苦しんでおり、特に建設分野について仕事はあれど人がいないという状況が続いている模様だ。
そんな停滞感が続くなか衆院選の結果が景況感に及ぼす影響については注視する必要がある。今回は政権与党が歴史的な大勝を収める結果となり、いわゆる「責任ある積極財政」が推進しやすくなったのは間違いない。選挙結果を受けて日経平均は大きく上昇したが周辺国のうち特に中国は過去の安倍政権と同等もしくはそれ以上に強力な基盤をもった保守政権が誕生したと受け止めている。
また先に触れた人件費に関していえば先月27日行われた労使会談の中で連合トップによる「3年連続5%以上の賃上げを要求する」という発言も飛び出しており、今年も賃上げムードを何とか醸成していきたいという思いが透ける。小欄では以前に触れた話題であるが、特に大企業と比べると体力の低い中小企業が継続的に賃上げを行うためには適正な利益の確保が絶対に必要であり、物価や人件費が高騰する中で必要な価格改定を行える事業環境が整えられていなければならない。今年1月からは中小受託取引適正化法(取適法)が施行され、中小受託事業者からの価格協議の求めに応じることなく一方的に代金を決定することが禁止されている。前述の会談では労使共に賃上げの必要性については認識が一致したと伝えられているが、施行されたばかりの取適法がどの程度効力があるのか現時点では不透明ではあるが以前まで「下請け」と呼ばれていた中小の受託事業者だけが一方的に不利益を被る環境では政府がここ数年の春闘で度々言及している“中小の賃上げ”が実現することはないだろう。
近年の物価高騰や経営層の高齢化等を背景に国内の経営環境は淘汰が加速しているといって良いだろう。一方で少子化による人口減少が課題となる一方、総務省による発表によると特に女性と高齢者が増えたことで労働人口は3年連続で最多を更新しているという。若い人材が求められているのは確かだが、多様な属性を受け入れられる労働環境の構築も同時に行う必要があるだろう。また在阪ねじ商社を見ているとバラ(数量通り)売りの対応範囲を増やしている企業が散見されるが、企業数の減少に伴いねじの流通網のあり方にも変化が起こることが予想される。今後の動向に注目したい。
