今年は省力化投資を追い風に

2026年1月12日

 2026年は、省力化を主目的とした設備投資が本格化する年になると筆者は予測している。(一社)日本工作機械工業会が昨年末に示した今後の見通しでは、自動化・高効率化、環境対応といった恒常的な設備投資需要に加え、長期間にわたり投資を抑制してきたユーザーを中心に老朽設備更新の必要性が高まっている点を指摘した。各国の通商政策や国際関係、主要業種の需要動向には不確実性が残るものの、秋口以降は外需を中心に設備投資が一段高い水準で進み始めた可能性があると分析しており、2026年に向けた投資環境は底堅さを維持するとみられる。
 地域別にみると、北米では米国による関税措置への過度な警戒感が後退し、航空機、自動車、建設機械向けを中心に大口受注が続く見通しだ。FRBの利下げによる金融環境の改善は、資金調達面で制約を受けやすい中小企業の設備投資を後押しする要因となる。欧州は景気認識にばらつきが残るものの、受注額は昨年年央以降の水準を上回って推移しており、ウクライナ情勢で和平に向けた動きが進めば、回復基調がより安定的なものになる可能性がある。アジアでは、中国で自動車関連需要がピークアウトする懸念がある一方、半導体デバイス関連では輸出製品向けを中心に高水準の受注が見込まれている。インドでも自動車、自動二輪、農業機械向けの需要が持続するとの見方が多く、アジア全体としては分野ごとの濃淡を伴いながらも投資意欲は維持される見通しだ。
 内需については、一部の自動車関連で設備投資計画を積み増す動きがみられるものの、全体としては一時的との見方が強い。主軸は納期短縮や省人化を目的とした能力増強投資、老朽設備更新投資となる。航空・造船分野での需要拡大への期待に加え、国内外でAI向けデータセンターの新設・増強が進み、関連設備投資が裾野を広げつつある点も注目される。
 こうした設備投資の本格化は、工作機械市場にとどまらず、機械設備に使用されるファスナー需要にも波及する。自動化設備やロボット、半導体製造装置では、高機能・高精度が求められるボルト、ねじ類の使用点数が増える傾向にあり、省力化投資が進むほど需要は着実に積み上がるとみられる。特に北米、欧州向けの設備輸出が増勢を強めれば、国内ファスナーメーカーや商社にとっては数量面だけでなく、高付加価値品の需要拡大という形で追い風となる。2026年は、設備投資の質的転換と歩調を合わせ、ファスナー需要も量と付加価値の両面で拡大局面に入る年になる可能性も考えられる。省力化需要の高まりは新しい設備投資の気運を呼ぶため今後の需要動向が注目される。

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