揺れる時代の丙午 長期視点で未来を描く

2026年1月5日

 2026年は丙午(ひのえ・うま)である。十二支の午は南を指し、成長や成功、繁栄の象徴とされる。もっとも、日本では丙午には独特の迷信がつきまとう。1966年の前回の丙午では、「丙午生まれの女性は気性が激しく、家に災いをもたらす」との俗説から、出生数が前年比25%減という異例の落ち込みとなった。しかし今日では、迷信が出生数に与える影響は当時より小さいだろう。ただし、日本の少子高齢化は依然として深刻であり、迷信の有無にかかわらず、持続的な対策の強化が不可欠だ。
 暦を振り返ると、午年には社会や世界が大きく動いた局面が重なっている。36年前の1990年にはバブル経済が崩れ始め、24年前の2002年にはユーロ貨幣の流通開始や日韓ワールドカップなど、国際社会が大きく動いた。12年前の2014年には自然災害や地政学リスクが顕在化し、世界の不安定さが浮き彫りとなった。こうした歴史は、物事が転じる瞬間の予測不能さを物語る。中国の故事「人間万事塞翁が馬」が示すように、人生や社会の出来事は幸不幸が表裏一体である。長期的な視点を持つことこそが、より良い未来を切り開く力となる。
 いま製造業が直面する状況もまた、午年が象徴する「転換点」と重なるように見える。
 実際、製造業を取り巻く環境は厳しさを増している。エネルギーや原材料の高騰、地政学リスクの高まり、熟練技能者の高齢化など、資産集約型企業は難しい舵取りを迫られている。「調達コストの上昇」や「価格転嫁の困難」を訴える声は多く、物流費の増加や円安も企業活動を圧迫する。人手不足はすでに「構造的」な問題であり、今後さらに深刻化するとの見方が大勢を占めている。
 突破口として期待されるのが、デジタル技術やAIの活用である。製造業においてもすでに影響は現れつつあり、2~3年以内に本格化する動きも見られる。現場レベルでもAIやロボットは不可欠な存在となりつつある。もっとも、ヒューマノイド型ロボットの華やかな映像とは裏腹に、実用段階にある導入事例は依然として限られている。日本はこの分野で上昇気流に乗れない状況にあるが、本格普及にはなお時間を要するだろう。
 企業が競争力を保つには、「業務の属人化」や「意思決定の遅さ」といった構造的課題の解消も欠かせない。「デジタル技術の活用」は単なる効率化の手段ではなく、変革への第一歩である。若手や次世代リーダーへの期待が高まっていることも、変化の必然性を示している。
 丙午の2026年は、変化を恐れず、情熱と行動力をもって未来へ踏み出す一年としたい。家々に、地域に、産業界に、日本社会に、力強い光が差し込むことを願う。

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