2025年も残すところ2週間となった。本稿が世に出る頃には毎年恒例の「今年の漢字」が発表されているだろうが、コメ価格の高騰に代表される物価高や高市総理の発言がもたらした日中関係の冷え込みから「高」が選ばれるのではないかという意見を見かけた。今年はそれだけではなく特に関西圏においては大阪・関西万博の盛り上がりやいわゆる「トランプ関税」への対応、大手自動車メーカー同士による経営統合の撤回など政治・経済、そしてもちろん文化面でも世を賑わせる出来事がいくつもあった。少なくとも「高」だけではない一年だったとは言えるだろう。来年の見通しは依然として先行き不透明ではあるが残念ながらこれといった好材料が見つからないのは今年と同じだ。
鋲螺業界を見ても旧来からの変化を感じさせられる出来事がいくつかあったように思われる。支払方法の変化はその一つで、政府が約束手形を廃止する方針を示したことも受けて現金支払いへ切り替える動きが加速した一年だった。そして鋲螺業界は新規参入が少なくプレイヤーの交代が少ない業界と思われていたが、コロナ禍終息以降より顕著になっている廃業やM&Aの動きは依然として継続している。廃業の動きがあるのは他の業界でも同じだが、取引先の廃業を受けて商圏を継承する際に取引先の顧客と直接取引が始まるケースもあるだろう。例えば在阪ねじ卸は仲間売りを主とする界隈であるが、国内の中小零細企業が減少するにつれて今後はそのあり方もまた変化していく可能性がある。大阪では来年創業100周年を迎えるねじ商社があるが、戦前から戦後にかけて様々な企業が誕生したこの業界も再び変動期を迎えつつあるように見える。
その他にも業界団体による生成AIをテーマとした勉強会が開催されるなど次世代技術にキャッチアップしようとする動きも見られている。鋲螺(ねじ)という製品自体に大きな変化はないが、鋲螺を取り巻く環境は一刻一刻と変わっていると見て良いだろう。全ての変化について把握することはできないが、概ね確実に進行すると思われる変化も中にはある。少子高齢化はその一つで人が減少するにつれて仕事のあり方や事業のあり方を見直す必要に迫られるだろう。加えて少子高齢化に伴い予想されるのは国内市場の成長を望むのは難しいということで、何らかの形で日系・ローカル企業を問わず、直接・間接を問わず海外へ販路を見出す必要性があるのではないか。ねじ業界に大きなもたらす変化について引き続きその動向を注視していきたい。