変遷遂げる産業界、省力化は永遠の課題

2025年11月17日

 本号から2週にわたり「省力化」をテーマとした特集をお届けする。慢性的な人材不足に悩む産業界にとって省力化はもはや取り組むべき必須の課題となっており、他方で既存業務の生産性を高める手段としても現場の改善そして省力化は永遠のテーマとなっている。省力化とは無駄を減らす一方で、人の力をいかにして最大限引き出すかという問題でもある。
 本特集では省力化機能を持つ鋲螺(ねじ)及び関連製品をはじめ、ねじを製造する圧造機械に関する省力化技術やねじ商社の物流現場における省力化の取り組みなど鋲螺業界に関わる省力化を幅広く取り上げているが、業界における省力化の今を俯瞰するための嚆矢となることを願っている。
 21世紀が始まって四半世紀が過ぎようとする中で産業界を取り巻く課題は様々な変遷を遂げてきた。気候変動の影響と見られる異常気象が頻発する中で未来世代への責任という点から環境対応が注目を集めるようになり、紛争や貿易摩擦により地政学リスクが高まるなか超大国を筆頭に自由主義から保護主義へ傾くにつれてグローバリゼーションのあり方が変わりそれに伴ってサプライチェーンのあり方が見直されてきた。
 更にもう少しミクロの視点で見るなら国内では働き方改革を皮切りに企業と労働者の力関係が徐々に変わりつつあり、全体の比率からすれば僅かかもしれないがしかし外国人労働者が確実に増えてきた。このように様々な変化が起きた後でも「働き手の不足」という企業を取り巻く課題、そして「生産性の向上」という現場が挑む目標に変わりはなく、働き手の問題についてはむしろ年々強まっているとさえ言える。
 かつて日本のモノづくりが強みとしていた要素を最大公約数的にまとめるなら「良いものを、より安く」というものだった。現在でもその大筋に変わりはないだろうが、考慮すべき要素が昭和の時代と比べて大幅に増えたとは言えるのではないだろうか。かつては日本の良さをいかにして実現するかに注力できたが昨今ではそうはいかなくなっているという訳だ。
 そして昭和は若く働き手が数多くいた時代であった。かつては200万人を超えた出生数も今年はついに70万人を割ろうとしている。今は第二次ベビーブームを迎えた時に生まれた中年世代(70年代)そして減少に転じながらもまだ150万人前後だった壮年世代(80年代)が働いているがこれからはますます減るばかりで働き手不足の影響が深刻化するのはむしろこれからと言って良いだろう。人が減る中で企業活動をいかに維持継続していくか、いかにして省力化を推進して人的資源を最大限活用するか、そうした省力化への挑戦は今後も続いていく。そうした中で機械要素であるねじのあり方は変わっていくのだろうか。今後の動向を注視したい。

バナー広告の募集

金属産業新聞のニュースサイトではバナー広告を募集しています。自社サイトや新製品、新サービスのアクセス向上に活用してみませんか。