今年も年の瀬が見えてきたが世界情勢を見ると年初と同じく不安定な状況が続いている。和平交渉の模索が続けられているウクライナ情勢そして中東情勢は予断を許さない状況が続いており、リスクの高まりを受けて金価格が最高値の更新を続けている。そして暗号資産が暴落するなど市場もまた不安定な状態となっている。
そんな不安定な現況を背景に、国内の景況感を見るとインバウンド需要の盛り上がりを追い風にサービス業が好調な一方製造業は明るい兆しがなかなか見えず、そして製造業・サービス業のどちらも人件費の上昇と人手不足に悩まされている構図となっている。中国経済の減速やロシアのウクライナ侵攻による欧州経済の停滞といった世界経済のマイナス要因は短期的に収束する見込みは見えず、来年以降も重くのしかかってくるものと予想される。米国のトランプ政権による関税については交渉カードと見なしている限り、今後も突如として関税が発動される可能性がないとは言えないだろう。不安定な中でこそ企業の改善活動の必要性は高まっており、DXを通じた業務の効率化や最適な人員配置に向けた取り組みは今後も求められるだろう。
景況感は概ね変わらない状況が続いているが、ねじ類の輸出については今年1月から最新の統計である8月まで対前年比では8か月連続で数量が減少している。注目すべきは近年の統計値を見ると物価高騰の影響を受け数量が対前年比で減少した月でも金額が概ね増加傾向にあった一方で昨年の夏季からは数量・金額のどちらも減少しておりねじ類の輸出が落ち込んでいることが確認できる。一方で輸入については今年1月から最新の統計である7月までの実績を見ると、今年2月など二桁の減少となっている月も見られるも概ね対前年比で数量・金額とも増加傾向にあることが分かっている。ねじ類の輸入は前24年から対前年比で増加傾向にあることが分かっており、統計を見る限りでは国内のねじ市場は昨年より輸入品が増加傾向にあると結論付けることができるだろう。
一方で、自民党の新総裁に高市早苗氏が選出された。党内右派とされる高市氏は安倍晋三元首相の路線を継承すると見られ、周辺国からは日本が保守路線に向かうのではないかと警戒され政治動向が注目されている。東アジア周辺国との関係性について現状は良好とは言い切れずとも安定した関係性を保っていると言えるが、仮に関係悪化に傾けば減退ムードが濃厚になるのは必須だ。今年は米新政権に振り回された時間が続いたが、今後は国内の政局に左右される時間が来ないとは限らない。新首相がどのような経済政策、そして外交政策を掲げるのか注意が必要な時間が続くものと思われる。
