停滞感が続く時こそ、社内課題の解決を

2025年6月16日

 25年も気付けば折り返しを迎えようとしているが産業界にとっては依然として芳しくない景況感が続いている。6月初めには米国が鉄鋼・アルミ製品に対する追加関税を発動しており、自動車をはじめ鉄鋼製品を使う関連産業への影響が懸念されている。製造業が落ち込みを見せる一方でサービス業は一時よりは円高が進んでいるとはいえまだ円安基調の恩恵を受けているインバウンド関連が好調で日本政府観光局によると今年4月の訪日外客数は過去最高となる390万人余を記録したとのことである。関西では大阪・関西万博がインバウンドをけん引しており大阪観光局によると4月は同じく外国人観光客が過去最高を記録したとのことだ。
 思い返すとコロナ禍の打撃を受けた際はサービス業が非常に厳しかった一方で製造業は堅調に推移していたが今は反対に製造業が伸び悩んでいるという構図になる。その一因としてはやはり米トランプ政権による相互関税措置をはじめ、アメリカという大国がどのように振舞うのか予測ができないという予測不可能性が大きな影を落としていると言えるだろう。例えばねじ類の輸出について財務省による貿易統計を見ると今年の1月から4月まで4カ月連続で数量が前年比で落ち込んでおり、昨年6月から前年比減もしくは横ばいという状態が続いている。金額については前年比で増加している月も見られるが物価高騰による影響と見て良いだろう。なお輸入については1月~3月までの実績のうち1月・3月はそれぞれ数量・金額共に前年比で増加しているが一方で2月は数量が二桁の減(金額は微増)となっていることが分かる。
 停滞感が漂う時こそ繁忙期にはなかなか手を付けるのが難しい社内の課題を見直す時間に繋げたいものである。来月には鋲螺を含む機械要素をテーマとした「機械要素技術展[東京]が、また2年に一度開催される」鍛圧技術及び関連設備の専門展である「MF-TOKYO」も同じく来月東京で開催されるが業界のトレンドや動向を掴む場として活用したい。MF展は鍛圧技術分野において知名度の高い専門展として知られており、鋲螺業界に関係するところでは圧造機械や関連する設備・技術が毎回展示されている。コロナ禍の最中行われた21年のオンライン展を経て現地開催となった前回(2023年)はカーボンニュートラルやロボットの活用を通じた自動化、IoTの導入といったトレンドが見られたが今回の展示内容にも注目をしたい。なお2年前に行われた際はEVへの関心が非常に高かったが車の電動化が鍛圧機械のトレンドにどのような影響を与えているのかについても改めて注目したいところである。

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