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いつかは必要、社史編纂

弊社では現在、或る企業が周年を迎えるという事で、創業以来の本紙において掲載してきた記事の確認作業を社員総出で行っている。時評子も本紙を集め編集した書籍版を、分業で昭和40年代後半(1970年代前半)を担当して閲覧したが、当時の時代背景が伺えた。

印刷一つとってみても、現在のデジタル式のデータ入力とは違い、「事務局」の「務」の字が逆となる印刷所のミスがあり、昔ながらの活版印刷だった。

世界情勢も、団体トップの所感の記述には、「世界人口が約36億人(昭和47年時点)」とあり、輸入・輸出関連記事を見れば、国名に「西ドイツ」「象牙海岸…現在のコートジボワール」と記述され、国の分離・独立と併合・連邦形成、そして国名改称まで変遷が分かる。

企業の事業所所在地の表記では、都市部に創業していても、時代の流れとともに市街地中心部が拡大し商業地区や住宅地となって、郊外や地方の工業団地等に移転したり、本社(事務所)機能は残して、工場・倉庫は移動する分業が進んでいる。

展示会も、現在の首都圏では開催場所に東京ビッグサイト(江東区)が多いが、千代田区の科学技術館や都立産業会館大手町館(昭和55年に閉館)でも開催され、「巡航見本市専用船」なるものもあった。

記事となるジャンルも、昔は経営者や親族の結婚式・金婚式、業界団体の事務局職員の引退(退職)、さらには夏季休暇や社員旅行による休業時期のお知らせ―等まであり、ネット普及以前の各社HPでの広報の役回りを、我々新聞が担っていたのだと推測され、「社員へ業務用にポケベル配布」の記事からは据え置き型電話と「電話番」の必要性や、公衆電話→ポケベル→携帯電話→スマートフォン―と通信手段の発達・普及も伺える。

さらに現在提唱されている「働き方改革」だが、土曜日半休(半ドン)の多かった当時でも「働き過ぎ状態を解決する必要がある」、また「作れば売れる時代は終わり、品質・性能の向上や付加価値が重要」「ねじ業界のイメージ向上を」との意見。製造設備に関しても「省力化推進機械」の特集が組まれ、産業、特に工業における40年以上解決出来ていない宿題か、永遠の課題なのか、当時の業界関係者の問題意識が分かる。

様々な時代の変化を感じられたが思うのは、決算書や会社紹介のパンフレット上での沿革・プロフィールのような記述だけでは分からない、感覚的なもの(空気感)やテクノロジーの変化、そして勤務形態は日常で当たり前となっていて記される機会が少なく、このような事も後々の世代の為に改めて確認・記録の社史編纂作業が必要かもしれない。

2018/10/01 金属産業新聞