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“完全不良ゼロ”は不可能?!、画像検査機にみる能力限界

史上最多13個(種目)でメダルを獲得した日本選手の大活躍が連日報じられた平昌冬季五輪では、スピードスケートなど早さによって順位が決まる競技の100分の1秒台を争うスリリングな展開が観客を魅了した。他方、昨年暮れまでマスコミを賑わせた大手組立・素材メーカーによる品質管理不正や、不適切な規定運用問題は今年に入り影を潜めた。2月末に重工メーカーによる車輌台車の安全面に欠ける加工が問題視されたが、未だモノづくり全般における信頼性回復には至っていない。

自動車を例にとっても、国土交通省のリコール・不具合情報によると平成28年度は年間155件、対象台数で1500万台以上と、2年前(平成26年度=133件、906万台)に比べ件数で16.5%増、台数では実に67%増となっている(四輪・二輪・バス・トラックなど含む)。

先日ある精密検査装置メーカー関係者との間で「自動車業界で“完全不良ゼロ”が不可能なのは何故か」という話になった。組立作業者のスキルやカンバン方式に伴うコスト&短納期の両立といった構造的な問題も去ることながら、成り行きから前出関係者の“フィールド”である膨大な量の構成部品に関する品質管理の在り方というテーマに至った。

同氏によると、L寸の長短チェック程度ならレーザセンサで「毎分1500本」の検査も可能だが、画像検査機の場合、カメラの画素数やシーケンサーの能力、合否判定基準となる誤差許容値の設定次第だが、流すワークが全数良品でも計算上「毎分1200本」が“限界”という。

冒頭触れたスポーツ競技は100分の1秒単位の話だが、ここでは電気制御系で用いられる単位ミリセック(1秒=1000ミリセック)が登場する。つまり一般的な30万画素モノクロカメラ+現状で“最速”とされる7倍速コントローラの組み合わせで、1本当たり50ミリセック(良品)を要するからである。NG判定で60ミリセック、しかも傷や打痕は1本につき1個所とは限らず、幅や長さなど表面に出てくる面積によっては1本当たり70ミリセック前後の時間がかかり、当然スピードダウンを余儀なくされるという。

従って安全率を考慮すると、カメラ1台のシンプルな画像検査機で謳うことができる能力は「毎分800本からギリギリ1000本まで」であり、画像検査機で「1000本以上」はあり得ないはずだとした。

結局、導入(検討)ユーザーも目先の価格や“素晴らしい”スペックに翻弄され、技術的な“限界”まで知ろうとしないという。航空・宇宙関連を除き、マスプロ生産で最先端技術を具現化した自動車業界で“完全不良ゼロ”が不可能なのは、様々な要因が挙げられようが、こうした背景も根底にあるのかも知れない。

2018/03/12 金属産業新聞