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逆に活かせる?業界イメージ

8月下旬に某大手自動車メーカーが、下請けとなる部品メーカー各社に対して値下げ要請を行った―。いつもの事≠ニ思ってしまえばそれまでだが、業績が悪い時ならともかく、最近の好調な業績による利益はどうしたのだろうか?小売業には「利益還元セール」という言葉はあるが、製造業におけるサプライチェーンのピラミッド構造で、最終納品先(大手メーカー)からの「利益還元」はまず聞いた事がない。

自動車産業から話は変わってねじ業界―。本紙夏季アンケートにおいて、今年上半期で原材料等の仕入れ価格が「増加している」という回答が大半を占める一方で、それに応じた製品価格の転嫁を実施した企業が約6割、残り約4割が「取引先との交渉が困難」「他社との競争が激しい」との理由で転嫁できなかった―との結果になった。

規模に関わらずあらゆる企業が、限られたモノ・カネ・ヒトを工面して事業を行って、売上・利益を生み出している。産業全体に言えることだが、そろそろ「一部ばかりが割を食う」この構造を改めない限り、昨今の原材料・エネルギー等の価格上昇や、人手不足対策としての給与等での待遇改善―等についていけず、デフレ脱却・健全な形での経済成長は無理だろう。

納品先が発注先に云いそうな決まり文句に「(他社で)代わりが効く」があるが、逆に「この条件なら無理、他を当たってくれ」と言えるような、強い下請け・中小企業が、何社かでもモデルケースとしてあれば―と期待してしまう。

作家・池井戸潤氏の作品中で描かれる程ではなくとも、ねじ業界は立場が弱いながらも、各社の努力・企業同士の協力関係で逞しく生き残っている。しかし世間(一般消費者)は「ねじ業界」と聞くと、おそらく3K等のステレオタイプなイメージの方が大きいだろう。

以前、全日本製造業コマ大戦協会の緑川賢司会長へのインタビュー取材の際に、「地域産業を守る中小企業の意見が通り、報われて、誇りを持つ事ができる産業界、そして日本にする為の一手段がコマ大戦」「目指しているのは『中小企業のサミット』を開催。日本を支えている工場の職人達の意見をまとめ、政府や大手企業にサイレントマジョリティーたる中小企業の屈託のない意見を上申するのが夢」と話していた。

もし前述のような構想が動き出した際には、ねじ業界の分かり易い下請け・中小企業<Cメージを逆に活かせないだろうか?あらゆる分野の製造業に関わって、ある程度の経済規模でありながら、立場が弱い―。しかし実際にはニーズに敏感で、製造技術や販売体制の向上で時代に適応し、頑張って生き残っている―。世間(業界外)と実際(業界内)のイメージの温度差を示しながら、意見を発信して立ち回る必要がある。

2017/09/04 金属産業新聞