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労働災害と先端技術、人との関係性が課題に

今月上旬、台風3号および活発な梅雨前線の南下により福岡県や大分県では、雨雲が帯状に連なる線状降水帯が発生し、九州北部地域に大規模な土砂災害をもたらした。被災者ならびに関係者の方々には改めてお見舞い申し上げる。

当然ながら今月中頃までは、この豪雨災害が連日のようにトップニュースで採り上げられたため世間の話題にすら登らなかったようだが、7月1日〜7日までは「全国安全週間」だった。自然災害と労働災害とは別物だが、“安全週間”と名が付くだけに皮肉な巡り合わせである。

全国安全週間は主として労働災害防止活動の推進を図り、安全に対する意識と職場安全活動のより一層の向上に取り組むべく、厚生労働省と中央労働災害防止協会が主唱した期間・制度で、昭和3年の第1回以来、戦時中も中断されることなく続けられ今年で90回目を迎えた。

一般的に“労働災害”というと旋盤や工作機械、搬送装置などに挟まれたり、巻き込まれたりするイメージだけに製造現場中心と思われがちだが、サービス産業やオフィスでも起こり得る。近年では小売業や飲食店、社会福祉施設などでも労働災害は増えているとされる。

とりわけ中小企業では思い切った設備投資もできないため設備の老朽化・経年劣化が進み、合理化や世代交代に伴ってトラブル経験豊富な人材を欠いていることが指摘される。また外注やアウトソーシングに切り替えようとしても、非正規や派遣社員ばかりでは現場の実情に合わない対応しかできないことが多い。

これらへの解決・対応策として産業界の期待を担っている一つにAIやIoT技術がある。自動車における事故の未然防止、自動走行機能などは各メーカーがこぞってPRしており馴染み深いが、各種工作機械関連でも様々な安全対策や生産管理面で既に実用化、実機搭載されている模様は先の「MF−Tokyo2017〜第5回プレス・板金・フォーミング展」でご覧になった読者も多いのではないだろうか。

ただ、問題はこれら高度な機能に頼るばかり、ともすると“慢心”してしまう人間の側にある。いくらセーフティ機能が付いているからといって、プレスのスライド機構に不用意に手を出す人はいないだろうが、日常の繰り返し動作・作業の中に意外とその危険性が孕んでいる。

まして前記の先端技術も予め行うセッティング次第、さらにはその核となるプログラムもより使い易く、より高機能に…と日々“進化”を遂げているが、これら進化させるのもまた人である。いくらヴァージョンアップを重ねても、いずれAIやIoTにも老朽化・経年劣化が訪れるであろうことも考慮すると、人との関係性が今後喫緊の課題となる。

2017/07/31 金属産業新聞