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災害ロボット成長への期待

災害時にロボットを使って救助活動の早さなどを競う「レスキューロボットコンテスト」の予選が先月、神戸で開催された。ロボット研究に勤しむ大学生ら約20チームが参加。ロボットを遠隔操作して、がれきの下敷きになったダミー人形を制限時間内に搬出する等の競技が行われた。本選は8月6・7日に開催される。同競技会は、防災・災害の関心と次世代研究者の育成を目的に開催、今年で11年目を迎える。阪神・淡路大震災後に本格化した救命救助機器、災害ロボット研究の啓発、普及に努めている。今年度は東日本大震災の影響もあり全国からの関心も高い。

今回の震災では、人命救助や福島原発事故のがれき撤去で様々な災害ロボットの活躍が報じられた。米軍から送られた小型潜水艇ロボットは、岩手県陸前高田市など津波被害を受けた数カ所でがれきが残る海中をダイバーに代わり潜水、ソナーやカメラを使い遺体捜索を行った。また福島原発のがれき撤去には米国社製のカメラ付き調査用ロボット、がれき除去ロボット2台とスウェーデン社製のがれきを運び易く解体するロボット1台が投入された。いくつかの事例を挙げて分かるように日本製ロボットの姿はない。先月、ガンマ線を可視化するカメラで放射線計測を行う国産ロボットが発表されたが未だ実用には至っていない。

自動車製造で活躍する産業用ロボット、介護やリハビリの分野で成長が期待されるサービスロボットの開発など「ロボット大国」と呼ばれてきた日本。しかし、災害の分野では他国に遅れをとっている。採用されない理由として指摘されているのが実績不足。災害現場のほかに軍の設備等で様々な経験を積んだ他国製に比べ、国産ロボットは経験が乏しい。採用実績を重ねていくことが今後の課題とされている。

東日本大震災により津波対策、原発問題をはじめ我が国が抱えるほとんどの災害リスクは顕在化したと言える。これからは復興に向けて、あらゆる災害を想定した対策を行っていく必要がある。その中で救命救助機器、災害ロボットの需要は今後高まっていくだろう。がれきを崩さず行方不明者を捜索、放射線の高い箇所でも遠隔操作で作業を行うなど今でも必要な場面はいくつもある。

今回の震災をきっかけに国内の災害ロボット研究がさらに加速、実用化に向けた積極的な施策等を期待したい。近い将来、日本のロボットが世界中の災害地域で活躍できるよう、部品業界としても注目したい。

2011/07/11 金属産業新聞