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電柱の地中化を進めよう

電柱の地中化を21世紀前半における有益な公共事業として進めていくことが望まれる。地中化により、災害時の円滑な救沿動、バリアフリー化、美しい景観を実現できるからだ。

まず、災害時の円滑な救沿動の実現だが、地震や水害、交通事故等で電柱が倒壊すると、コンクリートが道路に横たわることで緊急車両の交通を妨げたり、被災者の救出の障壁となったりする。また、絡んだ電線も一つ一つ取り除くのに時間を要し、加えて通電していれば感電の危険性も高まる。倒壊したこれらの障壁を取り除くのに手間を取られることで、被災者の救出に時間がかかってしまうことなる。

次にバリアフリーだ。小さい子供や高齢者、身体障碍者にとって、電柱が歩道に建っていることで、通行を妨げるものとなっている。通勤、通学、買い物、散歩等の際、目の前に電柱があれば、やむを得ず歩道をはみ出して一時的に車道に出て通行しなければならない。車道に出ずに隙間を通行できる場合であっても、車椅子の利用者やベビーカーの利用者にとってはやはり車道に出ざるを得ないため、危険である。

そして、街並みの美しい景観だ。ヨーロッパの街並みや我が国の江戸時代以前の街並みを描いた絵画を見ると、現代の日本の街並みはとても絵になる風景とは言えない。建物や青空の前に電線がいくつも横切ることで、無造作な景観を作りだしている。これを地中化すれば、すっきりした景観となり、パレットと絵具を手にして街並みを描けるようになるであろう。

国ではこれらの対策として東京五輪を目途に2018〜2020年の間に1400`の新たな無電柱化に着手することを掲げている。現在全国では3600万本の電柱が建ち、毎年7万本ずつ増加しているのが現状である。そのため、左記のような無電柱化の必要性の高い道路から順番に進めていくことが重要である。ただし、これを実現するには、財源上の問題を鑑み、財源を確保しながら進めなければならない。このため、工事のコスト削減を図りながら、地中化する電気設備の安全性・強度も確保できる措置を図っていかねばならない。

国は、コスト削減のため、深層部へ埋没させる方式を取らず、浅層埋没方式を取るとしている。また、地中化の技術としては電線を直接地中に埋没させる方式と電設ボックスを用いて埋没させる方式とがあるが、いずれの方式にしても、コスト削減の実現のためと、幅員の小さな我が国の道路に敷設するためには、これらの小型化へ向けた新たな技術革新が同時並行で進められることが求められる。

2018/07/16 金属産業新聞