先端半導体の量産化で日本の復権を

2022年11月28日

 ねじは〝産業の塩〟、半導体は〝産業の米〟と言われている。あらゆる製品の頭脳の要素として欠かせなくなった半導体。国内量産化のため日本企業が連合で次世代半導体の新会社を設立した。産業戦略で世界から遅れをとってきた日本は巻き返しを図れるか。
 新会社Rapidus(ラピダス)は、トヨタ、NTT、キオクシア、ソフトバンク、ソニー、デンソー、NEC、三菱UFJ銀行の国内8社が出資。新会社により次世代半導体の量産拠点の構築を目指す。
 半導体はもはや製造業には欠かせない中核要素となっている。AIやロボット、自動車の自動運転や次世代通信の6Gに対応していくためには高速演算能力を持つ最先端の半導体技術が不可欠だ。
 半導体生産は転換期を迎えている。世界的トップメーカーのある米国、韓国、台湾に加えて欧州ではドイツにインテルの工場を誘致するなど次世代半導体の開発が加速している。構造はFin型からより微細なGAA型に変わり生産技術の革新が迫られている。Fin型の量産化に至らず世界から10年の遅れを喫した日本は、この転換期で次世代半導体産業に参入できるラストチャンスとなる。この領域で後進国となった日本の巻き返しが図れるかが注目されている。
 鍵となるのは半導体の微細化技術だ。新会社では、「ビヨンド2nm」をキーワードに微細化技術を確立したうえで量産化を図り国内生産化を目指していく。日本が世界で先行している半導体製造装置の領域でも、今後も開発や量産でアドバンテージを保つための戦略が必要だ。
 政府は経済安全保障の強化を掲げて、新会社への支援をはじめ、全米半導体技術センター(NSTC)の日本版となる研究開発組織の立ち上げ、熊本県に台湾TSMCの半導体工場の誘致、日米共同での次世代半導体の共同開発を進める。〝安全保障〟と言われる通り、この動きは米国と中国の先端技術競争に起因して日本が巻き込まれた形となっている。次世代半導体の供給というグローバルサプライチェーンを米中どちらのグループが占有できるかの争いになっている。中国の半導体生産能力は2030年に台湾・韓国を上回りトップになると予測されている。経済・軍事両面で中国からの圧力が強まる台湾のカントリーリスクも二極化する先端技術競争が大きく影響していると見て良いだろう。
 国内生産化を目指す日本の次世代半導体戦略は、未来の国力を左右する重要な鍵となる。次世代半導体の生産拠点を国内に構えてサプライチェーンの中心に置くことで、ねじ・ばねを含めた素形材産業も活性化するかもしれない。日本の製造業全体の復権につなげてほしい。

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