ヒューマンエラーとの向き合い方

2022年10月3日

 9月に静岡県で起きた、保育園バス内に児童が残っていたのに気づかれず取り残され、熱中症で亡くなった事件。この保育園では出欠アプリを使用していたとの事だが、それでも取り残されているという事は「車内に人がいるか・いないか」という一次情報に接するのが人間だけではあてにならず、センサー(機械)が必要な事の証左だろう。
 二重三重の検査項目・防止策を設けたとしても、それが全て人間によるものならヒューマンエラーで二重三重にミスが重なって起こるものと認識、そして検査項目を増やせば増やす分だけ手間・負担となって疲弊し、ミスがミスを呼ぶ可能性も考慮したほうがいい。
 産業革命によって人間や牛馬による肉体労働の多くが蒸気機関をはじめ機械式の動力に切り替わった。IT革命・情報化によって頭脳労働の多くがコンピューターに切り替わり、演算・数値計算に限らず膨大かつ様々な情報処理・管理と通信が容易となった。もちろん重機にはできない細かい肉体労働、情報量の多さ・速さを求める以外の頭脳労働ではまだまだ人間が必要とされる。
 ねじ・ばね製造や販売においても検査・管理のミス対策や手間は課題だ。様々な設備機械にセンサーをはじめ検査装置も付けるのがメジャーになりつつあるが、これにより何らかのアクシデントがあった際に、「そもそも設備機械製造元のサービスマンが導入先に向かって修理する必要があるか」「修理する必要があればどのような部品等の準備が必要か」と事前に分かり早く・確実に復旧もしやすい。
 また商社でも「安価な外国製のねじを仕入れてみたが、不良品が多くて自動検査機を導入する事になり、結果的に利益分が少ない」という事例も聞く。外国製に限らずメーカーが検査済みだとしても商社としてさらに検査する際、検査機でなく人間(従業員)が行う事になったら、手作業の出来栄えにムラが生じるように検査にだってムラが生じて取りこぼすおそれがある。検査機の性能・効率を考えたら人間と比較した費用対効果を考慮して検査機が有効となるケースも多い。
 ただし設備機械も検査機も、センサーはあくまでその検査項目となる点のみを対象としており、人間からすれば単純・愚直とも思えるように機械はプログラム通りに確実に動く。人間のように五感を駆使して総合的にアクシデントの状況を読み取れる訳ではない。
 ヒューマンエラーは起こるものと認識した上で、検査・チェックという労働も人から機械に切り替わるタイミングかもしれない。もちろん全て機械に任せればよいという訳でなく、有効なサポート役として使い分け・使いこなすのが課題だ。

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