落ち着き見せるコロナ禍、春以降の回復に期待

2022年4月4日

 年初より感染が急拡大していたコロナ禍はひとまずは落ち着きを見せているようだ。感染の拡大が収まる気配がなかった韓国をはじめアジアの周辺国を見てもピークアウトの兆しが見えており、気温の上昇に加えてワクチンの3回目接種率も徐々にではあるが進んでいることから今後しばらくは小康状態が続くものと思われる。「まん延防止等重点措置」が解除されたことから社会活動が活発化することで感染者数はおそらく一時的に増加するだろう。しかしいよいよ待ち望まれていた飲み薬の供給が現実味を帯びてきたことから、新たな脅威となる変異株が発見されない限りコロナ禍も終わりが見えて来たと言って良いのではないだろうか。
 鋲螺業界においても徐々にではあるが協力会や業界団体の活動について再開の兆しが見えており、ねじ関係では国内最大規模を誇る展示会「機械要素技術展」も3月に続き、4月と6月に控えている。国内経済は昨年コロナ禍が落ち着きを見せた秋口においては力強い伸びを見せており、この春以降については年初から続いていた停滞ムードの打開に期待したいところだ。ただ周知の通り資材価格の高騰が産業界に「待った」をかけている状態で、ウクライナ危機も依然として続いていることから資源の高騰が回復の足かせとなるのは間違いないだろう。関連する話題では今後は昨年に続いて価格改定が課題となるのは避けられそうになく、各社にとっては頭の痛い時期が続きそうだ。
 コロナ禍や、現在ではウクライナ危機という大きな問題が国内外の社会・経済活動のあり方を大きく変えている中、国内ねじ業界でも再編の動きが活発になってきた。中でも今年に入ってからの大きな出来事として、大阪の中堅メーカーが大手メーカーによるM&Aを受けてグループ傘下に入ったほか、先月中旬には鋲螺業界との関わりが深い機械メーカーが投資ファンドにより全株式を取得されている。また商社について言えば、機械工具等を扱う大手商社が存在感を増していることも指摘しておきたい。このうちある1社は4月より兵庫県猪名川町にある同社最大となる物流センターの稼働開始を予定しているほか、別の1社は中部地区の供給能力増強を目的として愛知県北名古屋市に物流センターを新築する方針を決めている。近年では特にウェブ上のプラットフォームを通じて近隣業界の大手企業という新たなプレイヤーが現れている。コロナ禍を受けてM&Aが活発になっているという見方もあり、今後の業界動向には注意する必要があるだろう。

バナー広告の募集

金属産業新聞のニュースサイトではバナー広告を募集しています。自社サイトや新製品、新サービスのアクセス向上に活用してみませんか。