リアル・オンライン使い分け

2021年6月28日

 新型コロナウイルス感染症が拡大して約1年半。多くの人々が消費者(個人)として日々の暮らしを、そして事業者として業務に対し、接触をいかに減らしながら行うかに努めてきた。
 時評子も業界紙記者という仕事柄、企業への取材だけでなく業界団体や展示会への取材も重要な仕事であり、この期間インターネットを介したオンライン通信でのコミュニケーションが増え大きく様変わりするのを実感している。
 ねじ・ばね等の組合や協会といった業界団体でも総会・理事会も従来からの「出席」「委任状提出」の他に「オンライン参加=出席」も選択肢になりつつあり、距離の制約がほぼ無くなって出席へのハードルを下げてより広く意見交換・調整ができる可能性を持っている。
 顕著なのは講演会(セミナー)であり時評子も取材参加したが、例として今まで都内会場を借りて開催の場合約100~150名だったのが、オンライン形式だと約300~350名になり、出席者の所属企業・団体から察するに地方から参加し易くなった点は大きく、主催としては予算削減のメリットもあるだろう。
 一方使う頻度が増えてくると、オンライン通信は視覚は視野が限られ、聴覚は音域・音量が限られて、オンラインでできる事と同時にできない事、リアル(オフライン)にしかできない事も分かってきた。
 よく分かるのは展示会だ。安全に配慮してオンライン展示会に切り替えて遠方からの来場もし易くなったが、開催期間も長く「いつでも閲覧できる」安心感で閲覧しそびれる可能性。そして従来のリアル展示会の開催前から公式HPにある「出展者紹介ページ」の延長線に近く、どうしても各社が普段公開しているHPの寄り合い感もあるようだ。
 リアル展示会ならば、実際の目で見て展示品の光沢・質感や画像では分からない角度からの視点。来場前から目当てとしていた展示品以外を本来の広い視野で見かけての予想外の発見。稼働する設備機器の振動を含めた臨場感ある音。展示品実物を触った質感―が体験できる。
 そして出展者・来場者間だけでなく、出展者同士、来場者同士の交流の場としての側面もあり、オンライン通信だと事前にコミュニケーションの内容が決まってしまいがちだが、話しているうちに出てくる副次的な情報にも意義があるはずだ。
 ワクチン接種が進んで集団免疫を獲得したアフターコロナは、完全にはコロナ前=ビフォアコロナのようにならず、コミュニケーション手段は見直されてリアルとオンラインの併用・使い分けが基本となるのだろう。

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