コロナ対策を再確認 距離と時間を考えよう

2020年12月28日

 ユーキャンが選ぶ今年の新語・流行語大賞は「3密」だった。言語学者の金田一秀穂氏の評にはこうある。「〝3密〟は健気な日本語である。結婚の条件としての〝3高〟。大変な肉体労働を表す〝3K〟。いくつかある大切な項目をまとめる言い方が日本語にはあって、得意技ともいえる」。3つにまとめると伝わりやすいのだ。ちなみに海外の流行語大賞でも新型コロナウイルス関連が選ばれていたようだ。
 感染者数や医療現場の逼迫を伝える報道によって必要以上に恐怖心を煽られる感があるが、個人や会社レベルではこれまで取ってきたであろう対策をひたむきに継続するしかない。ウイルスに心や意思は無いので、我々生物側の心掛けによって状況は良くも悪くもなる。また、ウイルスが経済を崩壊させる意思を持っている訳でも無いので、経済とのバランスをいかに取るかも我々次第ということになる。
 個人の集合体である会社において、会社側が感染者を出さないように完全にコントロールすることはできない。社員の余暇活動まで干渉することは無いからだ。ただ、感染者が発生することはある程度仕方ないとしても、クラスターを発生させない取り組みは会社として極めて重要となる。要するに、他の社員を濃厚接触者にしない環境整備を行う必要がある。
 クラスターが発生すると会社の運営に支障をきたすことはもちろんとして、濃厚接触者になると、PCR検査の結果がたとえ陰性だったとしても2週間のあいだ自宅での経過観察が保健所から要請される。これでは人員に余裕が無い会社は回らなくなる可能性も出てくる。
 濃厚接触者は保健所が総合的な判断により決定するが、定義には身体接触や、マスクなしで1㍍以内の距離で15分以上会話をすることなどが挙げられる。この様な状況を最も想定しやすいのは食事や休憩時である。マスクを外して会話するため、仕切り板の導入など対策を強化すべきポイントと言える。改めて社内での有効な感染対策をおさらいしておくと、▽アルコール消毒の徹底▽マスクの徹底▽休憩室・食堂での人数制限や交替制▽体調・検温管理―などが挙げられる。距離の近さと時間の長さを軸に考えると対策のポイントが見えやすい。
 以上は会社での対策事項だったが、結局は個人レベルでの心掛けが感染対策の根幹である。手洗いうがいの継続などシンプルなことを粛々と続ける他ない。年末年始ぐらい羽目を外したいところだが、厳かに過ごすのもまた一興だろう。宴席の最初は注意力があっても、酔いと時間が深まって醸成される雰囲気は「コロナなど恐るるに足らず」というものだろうから。

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