増える政府支援策の利用

2020年9月21日

 コロナ禍で業績が悪化している企業が多くを占めている中で、政府の支援策である助成金や給付金を利用する企業が増えている。
 本紙が今年の夏季特集号に実施したアンケート調査によると、新型コロナウイルスの影響にともなう政府や民間の緊急支援策を利用している企業が5割以上を占めていることがわかった。利用している、または今後、利用するつもりの支援策を聞いたところ上位を占めたのは「雇用調整助成金」「新型コロナウイルス感染症特別貸付」「持続化給付金」だった。
 本アンケートは6月中旬から7月中旬にかけて調査したものであり、現状は、こうした支援策を利用している企業はもっと多いのではないかと時評子は推測している。特に「雇用調整助成金」は主力取引先が自動車関連のメーカーは生産調整で休業日を設けている企業が多く同助成金を利用している企業がほとんどだ。また同助成金は時短勤務にも適用される。月ごとに申請ができ、特例措置は12月末まで延長される方針だ。
 「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は「特別利子補給制度」と併用することで実質無利子・無担保の融資となり利用されている制度。喫緊で資金が枯渇しているわけではないが、実質無利子・無担保ということもあり、今後に備えて手元にキャッシュを置いておきたいので検討するという声も聞かれる。
 前年同月比で事業収入が50%以上減少した月がある企業は最大200万円が給付される「持続化給付金」を申請したという企業も多い。申請から1週間も経たないうちに口座に現金が振り込まれたというケースも聞く。従業員を多く抱える中規模以上の企業にとっては少ない額ではあるが、小規模企業にとっては最大200万円の給付金は大きい。申請が比較的楽ではあるが、業界外では不正受給の報道も聞かれるようになった。給付後も調査が入る可能性がある。全ての支援制度に言えることではあるが、正しく慎重な申請が求められる。
 このほか新型コロナウイルス感染症の影響にともなう特別枠で拡充された各種補助金制度もある。補助金も前述の助成金や給付金と同様に返済する必要のないものだが、採択される必要があることは勿論、補助率以外の一部は自己負担する必要があるほか、交付されるまでは全額を一時負担しなければならない。このため安易に「お金がもらえる制度」と考えず、補助金本来の目的である「積極的な投資の一部のお金を補助してくれる制度」として考えたい。なお、補助金を申請する際の経営計画書等に記載する業界規模の推移に関するデータは本号1面の工業統計調査や本紙ニュースサイトの統計データを参考にしてほしい。

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