前提が崩壊した消費税

2020年9月14日

 故・竹下登首相が1989(平成元)年に導入した消費税は3%ではじまり、1997(平成9)年に故・橋本龍太郎首相が5%に、2012(平成24)年の野田佳彦首相による民主党・自民党・公明党の「社会保障と税の一体改革=三党合意」を経て、2014(平成26)年に安倍晋三首相が8%に上げて、さらに2019(令和元)年10月に10%に上げて、現在に至っている※食品等は8%のままとする軽減税率は継続中。
 消費税を10%に上げる際、直前の景気状況において〝景気拡大が続く〟〝リーマンショック級の不況が起きない限り〟を前提としていたが、本紙8月31日号既報の通り、内閣府経済社会総合研究所が7月30日に発表した「景気の山の暫定設定について」において〝2018(平成30)年10月頃をピークに下降トレンド〟と、従来GDPについて発表してきた〝緩やかな回復〟ではなかった事を今さら認めはじめた。
 また本紙による業界各社への景況感のアンケートにおける、例年新年と夏季に上半期・下半期の「前期と比較した売上」においても、消費増税後の2019年上半期は回答で「前期比小幅増」「横ばい」が減少、「小幅減」「大幅減」が増加し、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が現れる2020年上半期以前から景気後退は推測できる。
 誰が〝景気は回復している〟としたのか?役人(調査担当者)が数値に手を加えて報告したのか?それとも政治家が「不都合な真実」を無視したのか?前提とした条件を反故にして、なし崩しに上げている。
 そして2020年初頭から新型コロナウイルス感染症拡大によって「リーマンショック級の不況」いや、それ以上かもしれない事が現に起きても方向修正しないのか、消費税とは一度上げたら二度と下げてはならない物なのだろうか?
 度々「少子高齢化社会に備えての社会保障の充実」と云われているが、30年以上、企業・国民が払い続けた消費税は高齢化社会への対策に足りなかったのだろうか?
 それだというのに2019年6月に金融庁が報告した「夫婦2人で95歳まで生きるには公的年金制度以外に2000万円が必要」と試算した通称「老後2000万円問題」の通り、年金だけで生活できる見通しは難しい。
 そもそも人口比率として高齢者が増える事態を防ぐべく少子化対策はどうなってきたのか?解決させれば人口オーナスに人口ボーナスで対応して増税は防げたのではないか?
 消費税は政治の無為無策の埋め合わせに使われる物ではないはすであり、納得できるプロセスが必要だ。

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