グローバリズムの行方 躍進する中国

2020年6月8日

 中国メーカーのスマホを操作してみて特に不満を感じない。10年前では考えられない状況だが、残念ながらスマホ市場で撤退が相次いだ日本企業よりも成功したことは確かだ。スマホ黎明期、日本は世界標準ではない独自規格の「ガラケー」市場だったことで初動が遅れてしまった。
 ねじは規格がないと互換性が発揮されない。1841年にイギリスのサー・ジョセフ・ウイットウォースがウィットねじを体系化したことを端緒とし、我々は規格の恩恵にあずかっている。その後時代と共に変遷を経て、国際基準ISOには1952年に加入した。ガラケーの例も然り、ものづくりにおいては規格がグローバル化を可能にする。
 アメリカの自国優先主義や、イギリスのEU離脱といった要因から、グローバリズムの後退が囁かれていた昨今。そこに言わば“ダメ押し”で新型コロナが世界中に拡散した。「移動」や「生産移管」、「世界規模のサプライチェーン」といった、コロナ以前の世界で価値だったものが大きく揺さぶられることとなった。
 高度成長を遂げた中国の富裕層は、バブル期の日本人がそうだったように、大挙して海外旅行に出かけた。新型コロナを発生地で封じ込められなかったことが悔やまれるが、コロナ以前の世界では人・モノ・金の自由な往来が正義だった。
 グローバリズムは地球規模で自由貿易や市場経済活動が展開される。ソ連崩壊以降は主に中国を成長のエンジンとして世界は国際分業体制を築いてきた。この20年で世界の貧困は大幅に減少し、モノが安く買えるなど一定の恩恵はあった。しかし、移民が多い国では移民労働者に職を奪われる不安に晒され、さらに企業は利益追求のため低賃金労働者を求めて新興国に移り自国の産業は空洞化に向かう。グローバリゼーションによって新興国の中間層は底上げされたものの、従来の先進国の中間層は没落する。この不安から自国優先を掲げるトランプ大統領が登場した。
 現在アメリカはファーウェイに対して制裁を継続。安全保障の問題と絡んで覇権争いが本格化している。客観的に見ると「中国に世界経済の原動力となる役割を担わせて、増長したら叩く」とも取れるが、中国の技術力の進歩はアメリカが躍起になる程目覚ましい。
 そして新型コロナによって医薬品の原薬など他国任せにしておくと危険な製品が浮き彫りとなった。今後はなるべく自給自足する方向に進むのか、それとも選んだ国と供給網を構築するのか、あるいは国際協調を目指すのか。いずれにしても当分は以前の開放性は戻らないだろう。詰まるところ「中国は信用するに足るのか」という問いが投げかけられている。

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