ピークアウトのコロナ禍、経済の再起動急げ

2020年5月18日

 新型コロナウイルスの影響は依然として深刻で、感染者数に関してはゴールデンウイークを経てようやくピークアウトの兆しが見えつつあるがまだ安心できる水準には無く、そしてこと経済に関しては著しく落ち込んだ状態が続いている。かつてリーマンショックにより国内経済が著しく冷え込んだ際、回復の兆しが見えるまでおよそ5年かかったが「コロナ禍の影響はリーマンショックを超える」という見方もある以上回復までにはこれ以上の時間を要する可能性があると覚悟する必要があるだろう。
 今月初めより一部自治体において国民一人につき10万円を給付する一律給付金の申請が始まっている。事業主に向けたものとして雇用調整助成金や持続化給付金、また事業承継及び事業統合の費用を補助する事業継承補助金などがあり、状況に応じた各制度を積極的に利用することで新型コロナウイルスの影響を少しでも和らげていきたい。しかし4~6月期のGDPについて「2割減」という極めて厳しい予測が出ている中、政府がこれまで示してきた支援策だけでは到底足りるものとは思えない。政府は今月14日を目途に緊急事態宣言の期間について再度判断するとのことで、本号が出る頃にはより具体的な道筋が示されているものと思われるが、経済活動の再起動に向けて明確な出口戦略を示すと共に期間を延ばすのであれば今以上の支援措置を躊躇わず早急に実施するべきだ。
 新型コロナウイルスに関しては業界企業各社においても時差出勤や営業時間の変更そしてテレワークといった対応が既に行われているが、時評子が見る限り4月末時点での景況感は、特に卸に関しては「(一部落ち込みあるも)概ね普段通り」という声が多かったように思う。そして各社とも「悪くなるのはこれから」という見方で一致していた。また欧米で深刻な状況が続くなか感染が治まりつつある中国向けの案件で増産が決まった、という話もあった。現時点で欧米諸国が収束する可能性は低く、いわゆる“アフターコロナ”の経済では一早くコロナ禍から立ち直った中国が今以上に存在感を示すという見方もある。特にねじ類に関しては、中国は近年AD税の撤廃に伴いヨーロッパ向けの輸出を伸ばしていたが、欧米市場が冷え込むなか中国のねじ産業がどこへ向かうか動向を注視したい。
 またこの状況を少しでも活かそうと、先にも触れたテレワークの導入や繁忙期に行えなかった設計の見直し、新技術の開発といった前向きな動きもある。大手自動車メーカーではこの状況下でもいわゆる“CASE”関連の研究開発は続ける方針を示しており、厳しい時期を乗り越えた後で結果に繋がることを願わずにはいられない。

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