正念場迎えたコロナ対策

2020年4月13日

 新型コロナウイルス感染症をめぐる対応が正念場を迎えている。国内を見ると小欄執筆時点では1日当たり過去最多となる276人の感染(今月2日)が確認されているが、新型コロナウイルスの強力な感染力を考えると残念ながら今後何度も「過去最多」という文言を目の当たりにするものと思われる。業界でも不要不急の訪問や出張を控える空気が広まっており、また通勤時の感染リスクを下げるため営業時間を変更する企業も現れている。また例年であれば3月末から4月初旬にかけて、業界各社による来年度の方針説明会や総会が行われていたが今年は軒並み中止となってしまっている。小欄ではこれまでにも何度か新型コロナウイルスについて触れてきたが、今後も当面の間国内の、いや人類の関心事であり続けるのは間違いないだろう。
 感染拡大を受け、各企業で時差出勤やガイドラインの策定といった動きが出ている一方でテレワークに関してはあまり導入の声が聞こえてこない。同じく小欄執筆時点では緊急事態宣言の発令が確実視されているが、今後感染リスクを下げるため特に移動に関して一層強い要請が出されることが予想される以上、もはや導入は必須と考えて良いのではないだろうか。「自宅で書類を作成しても結局はハンコが必要になり出勤しなければならない」というような旧来の商習慣と衝突するケースもあるとのことだが、今後の有事の際に対応できるようにするためにも働き方を見直す機会にしたい。しかし特にメーカは現場から離れて仕事をするという訳にもいかず、個人や企業の工夫だけでは限界があると思われる。特に大手企業と比べて体力の低い中小企業を守るためにも政府には適切な対応を求めたい。
 ところで、以前小欄において「『2020年が一つの節目だった』と言われるようになるかもしれない」と書いた。当時は新型コロナウイルスも中国国内に留まっていた段階で、疑問を投げかける声が既にあったとはいえ東京オリンピックも予定通り行われるはずだった。より良い方向へ向く第一歩として、時代の転換点となる年であって欲しいという希望を込めたつもりであったが、新型コロナウイルスの急拡大により経済及び社会情勢に大きな打撃を与える未来を見通せず、今となっては全く違った方向で2020年が「一つの節目」となるのは確実と思われる。近年では台風や大雨、地震が続き、経営に際してこれらの災害リスクが強く意識されるようになったが新型コロナウイルス終息後はこれらに加えて感染症のリスクも意識する必要に迫られるだろう。日本は今感染爆発が起きる瀬戸際にあり、今後の事態を注視しながら対応していきたい。

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