変わる雇用制度、会社の「見せ方」も大切

2020年1月12日

 2020年1月6日からハローワークの求人票とインターネットサービスが変わる。以前に比べて掲載できる情報量が増え、会社の情報を求職者に対してより詳細に伝えられるように変化する。このように求職者にとって便利なサービスになる程、採用側の対応力と作り込みの充実度によって採用に差が付く可能性がある。
 まず求人票は、従来のA4片面から、両面に記載できる様式となり、より詳細な記述が可能となった。新設された項目には「受動喫煙対策の有無」や「復職制度の有無」、「36(サブロク)協定における特別条項の有無」、「職務給制度の有無」といった時代の流れに沿ったものが追加される。「復職制度」は結婚、出産、介護、配偶者の転勤などでいったん会社を退社した後に復職できる制度。人手不足が叫ばれる中で「一億総活躍社会」を意識したものだ。この様に働き方改革や健康増進といった取り組みの影響が色濃い。
 中でも注目は「職務給制度の有無」の項目である。職務給は労働者が従事する職務に応じて賃金を決定するもので、2020年4月1日から導入となる同一労働同一賃金を意識している。これまで日本型の賃金制度では年齢や能力に応じて給料が決まっていたが、仕事の中身やスキルで判断する欧米型への移行を表している。
 次にインターネットサービスも充実する。ハローワーク内に設置されたパソコン(検索・登録用端末)と、「ハローワークインターネットサービス」が一本化されるので、ハローワークに行かなくてもネット上で同じ求人情報が公開される。
 さらに「求職者マイページ」が新設され、求人票に掲載する情報のほか、事業所の外観、職場風景、取扱商品などの画像情報が登録できる。さらに求職者とのやりとりができるメッセージ機能が設置され、より利便性が高く時代に合ったサービスとなる。
 ㈱東京商工リサーチによると2019年1―11月に早期・希望退職者を募集した上場企業は延べ36社、対象人数は1万1351人と、6年ぶりに1万人を超えた。業績不振が目立つ電気機器が12社とトップだったが、業績が堅調な業界大手でも将来の市場環境を見据えた「先行型」の実施がみられた。例えばキリンHDは過去最高益だが、成長分野への事業展開を図るために余裕のあるうちに中高年のリストラや配置転換を行う。
 大手企業を中心に定年制度の見直しが動き出している。また、働き方改革の実施等に伴い雇用の流動化も進む。求人票の例に限らず、今のうちに会社ホームページの充実といった会社の「見せ方」に力を注いでおいて損はないだろう。

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