“異常気象”の常態化、一日も早い備えを

2020年1月12日

 昨年近畿地方を中心に大きな被害をもたらした台風21号の記憶もまだ新しい中、またも超大型台風が列島を襲った。強風による被害に加えて記録的な大雨により長野市の千曲川など数十カ所で堤防が決壊し、住宅街が浸水するなど首都圏をはじめとして関東・東北方面に甚大な被害をもたらす結果となった。執筆の時点では被害の全容は明らかとなってはいないが、ライフラインに深刻な影響を及ぼしているほか事業所が被災したため休業を余儀なくされた企業が数多く出ている。また現時点における各メディアの報道をまとめると今回の台風で少なくとも70人超が死亡、十数名が行方不明、200人以上が怪我したことになる。また少なくとも1万棟以上が浸水被害を受けたとされている。この場を借りて被災された方にお見舞い申し上げると共に、一日も早い復興を願いたい。
 気候変動の影響により日本から四季が去ってしまって久しいが、特にここ数年は季節に合わない厳しい暑さや寒さが続くばかりではなく台風や地震をはじめとした人命に関わる災害が続いている。特に昨年は年初の北陸豪雪に始まり、近畿圏に大きな被害をもたらした台風21号、大阪及び北海道での地震と過去に例がない頻度で複数の災害が列島に押し寄せた形となったが、令和に入ってからも8月に九州北部において記録的な集中豪雨が発生しているほか、先の台風が接近した際には千葉県で震度4の地震が発生している。これにより一時ニュースでは台風と地震両方の速報を伝えるという、にわかには信じがたい事態となった。
 しかし地球温暖化に始まる気候変動の急な回復が望めない以上、これらを「異常」として片づけてしまうことは難しい。今後は地震、台風、豪雨といった複数の災害に備えなければならないだけではなく、“災害の同時発生”というあまり想像したくない事態についても想像しなければならないのではないか。昨今ではBCPの策定が話題に上るようになったが、まずは避難の準備や連絡網の整備といった身近なところからでも備えていきたい。
 なお今回の台風について、ネット上では奇しくも10月1日より試験運用を開始していた群馬県の八ッ場ダムの活躍により被害の拡大を防ぐことができた、という意見が散見された。建設までには反対運動をはじめ民主党政権時代の事業仕分けなど多くの紆余曲折を経てきた同所であるが、今回の台風によって有用性が証明された形となる。しかし「備えあれば憂いなし」とも言うが、備えるためにも多くの労力が必要である。一家庭の備えとは異なり一企業の備えともなるとそれなりの時間を要するのは間違いない。今回の台風を契機として防災に取り組む機会としたい。

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