調達の複雑化で揺らぐメイドインジャパン

2020年1月12日

 かつては高品質の証で商品にこの文字を見つけると、安心した気分になった「Made in Japan」の表記だが、その意味が揺らぎつつある。
 グローバル化により、材料・半製品を安い国から仕入れて日本で二次加工、または組立して最終製品に仕上げるといったケースが増えている。今後は、適材適所で国、部品を選択するといったより複雑なケースも増えてくるだろう。そして問題になるのが、この製品の原産国はいったい何処なのかということである。
 日本の法律で商品の原産国に関する言及は、景品表示法第5条第3号の規定に基づく告示である「商品の原産国に関する不当な表示」に記されている。ここでは生産された商品について一般消費者が、その「原産国」で生産されたものであることを判別することが困難なもの、所謂紛らわしいものを明記して、それを不当表示として規定している。では、そもそも「原産国」とは何かであるが、同告示には備考として「その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行なわれた国をいう」と明記されているのみだ。これは非常に曖昧な表現といえる。
 「実質的な変更」が法的に曖昧に定義されているので、指針的位置づけの資料を求めると財務省・税関の「原産地規則」に行き着く。他国から材料を輸入して自国で加工した最終製品を海外に輸出する場合に、その製品の「実質的な変更」が行われた原産地、つまり製品の国籍をどこに定めるかが規定されている(詳細は税関の「原産地規則ポータル」を参照)。この「原産地規則」は経済連携協定(EPA)を結ぶ各国で定められているが、主な基準は品目別に①関税分類変更基準②付加価値基準③加工工程基準―に分類されている。①は材料とその材料で生産された加工品の関税分類番号(HSコード)が一定以上異なっている場合②は締約国での生産により価値が付加され、この付加された価値が基準値以上の場合(計算式で定義)③は締約国で、特定の加工工程(例・化学反応、蒸留、精製など)が施された場合―に「実質的な変更」が行われたとする考え方だ。
 EUの原産地規則では、ねじ類は①が基準となり、他国から材料・半製品として輸入されてきたものは、ねじ類のHSコード上4桁の「7318」以外の品目でなければ、日本で「実質的な変更」が行われたとされず日本製とはならない。
 原産地規則は、EPA締約国でそれぞれ違い、国際的に統一した基準がないのが実情だ。日本国内のみで流通する製品に関してはこの原産地規則が適用されるものではなく、前述の曖昧な景品表示法のみに縛られることになる。材料・製品調達が複雑化する中、原産地表記の統一的な基準が今後求められるだろう。

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