雇用に必要な「K」対策

2020年1月12日

 1月も中旬を過ぎて正月気分も落ち着いたが、年末年始でも様々なニュースが飛び交った。
 12月には韓国海軍の艦船が海上自衛隊の航空機(哨戒機)に向けて、攻撃の前段階ともいえる火器管制用レーダーを照射する事案が発生し、1月中旬時点でも外交問題として続いている。軍事的な同盟国の軍隊、一般企業でいえば「業務提携先」から直接的に事業の邪魔をされる以上の行為だろう。
 一方で1月には新潟県のアイドルグループのメンバーが帰宅する際に、男性二人に顔をつかまれる暴行を受ける等の被害で事件があった。真相究明の途中だが、事件後の対応として防犯アラームをメンバーに配布する程度で、「あまりに対策が不十分」との意見も上がっているようだ。
 片や自衛官(公務員)、片や芸能人…。業務上の身の危険の度合い・可能性に違いはあるが「絶対に安全」という職業は無い。しかし防止策(これができるに越した事は無い)や、もし事件・事故等の問題が発生したとしても、それ以降に行われる対応で安心して仕事が出来る環境が確保されなければ、どんな職業であれ労働者(従業員)の勤務意欲にも関わってくるはずだ。
 一昔前は「3K」=「危険」「きつい」「汚い」、さらには「給料が安い」「帰れない」「気が休まらない」「休暇が取れない」「体を壊す」「(忙しくて)結婚できない、子供が作れない・育てられない」しまいには「会社に殺される=過労死」等も含めて「10K」とも揶揄される、「K」の付く様々な仕事に若者が就きたがらない―と上の世代が批判的な意味合いで言われていた。
 昨年約3年ぶりにシリア国内の武装勢力に拘束から解放されたフリージャーナリストの安田純平氏の事件をはじめ、過酷な自然を相手にする第一次産業や、重厚長大な製品を取り扱う第二次産業(製造業)や建設業等、「危険でなければ仕事にならない」事も世の中には多々ある。しかし出来るはずの対策を怠って「K」があふれる事業環境とするのは、上の世代・経営者(雇用主)の怠慢だろう。
 またこれは従業員レベルだけでなく、経営者・組織(企業)としてみても同じだ。バブル崩壊、そしてリーマンショック以降に国内製造業の海外進出が盛んとなったが、コストダウンをはじめとした目先の収益の為に対策を疎かにしたまま「K=危険」が多い地域に進出して、現地の自然災害はもとより治安の悪さによる事件・事故や暴動、そして政治的問題で痛手を被った企業が数多あったはずだ。
 「良禽択木」「人は城・人は石垣…」「人材は人財(財産)」、様々な言葉があるが人手不足と云われる昨今では、財産を維持する為の必要経費(コスト)を惜しんではならないだろう。

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