何がしたいの?日本の税制

2018年12月24日

 妊婦が医療機関を受診の際、医療費に上乗せされる制度「妊婦加算」が今年4月から算定されているが、制度見直しの意見を受け、厚生労働省は今月中旬に当面の間凍結と発表した。少子高齢化対策に逆流するこの制度、世間の関心が高まったからこそであり、時期を過ぎれば元通りになっているかもしれず、今後も注視が必要だ。
 男女雇用機会均等法以降、女性の社会進出は進んだが、進出(結果)が目的ではなく、進出できて中長期的に一線を退いて子供を産み・育て、復帰できる環境(選択肢)が本来の目的なはずだ。出産・育児による労働機会損失やそれらの費用は明確な数字に表れにくいコスト(金銭・労力)だが、それによるリターン(子供達が成人し労働による生産)を蔑ろにし、目先の金に目が行っているのが現在の経済界の現状だろう。
 過疎で税収が減少した自治体の格差是正を推進する為の「ふるさと納税」も、各自治体が過度な競争を起こし高級食品・嗜好品や家電等の返礼品が話題だが、9月中旬から総務省が規制方針を示している。しかし2007年に第一次安倍内閣が始めた制度であり、「地方創生」を提唱しながら俗にいう〝ヒモ付きの税金〟で、中央が税収面で地方を管理下に置き続けたい意図が垣間見える。
 その一方で政府は11月中旬に、東京23区から地方に移住する人を対象に、最大300万円を給付する制度創設を発表しており、中央の「税金は欲しいから地方に分けないが、人(返礼品)は要らないから送る」意図の〝逆ふるさと納税〟だろう。
 来年10月から予定されている消費税引き上げも、それによる景気低迷の対策とする軽減税率に対しては線引きが曖昧だ。外食に関してファストフードなら同じ店でのテイクアウト(持ち帰り)とイートインの場合は?そして出前・ケータリングは?また屋台をはじめどのような形態の店舗で、どう食べれば税率が変わるのか?議論が巻き起こっている。
 まず適用対象か否か?適用の場合に計算方法を使い分ける事による「手間もコスト」という認識が欠落している。また酒・ガソリンを例にとれば、それ自体に「酒税」「ガソリン税」が課せられており、その上に「消費税」が課される「二重課税」となっているのが現状だ。基本的に軽減税率対象は生活必需品との事だが、生活スタイルは様々であり、例として地方では、鉄道の駅の間隔も広くバス等も含め本数も少なく、自動車及びガソリンが〝生活必需品を入手する為に必要な、生活必需品〟の場合はどうするのだろうか?。
 納税は憲法で定められた日本国民の義務だが、端的にいえば国民としてのサービスを受けられる為の料金だ。しかしその料金体系は〝明朗会計〟であるべきだ。

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