兵器になりうる自社技術、感情論ではない判断を

2018年12月17日

 先月28日から、30日まで開催された「国際航空宇宙展2018東京」を見に行った。航空関係は海外出展者に加えて、国内出展者の数が増しており、この市場に対する期待が高まっていることを感じさせた。
 一方で、兵器関係の展示も増加した。前回から米ロッキード・マーチンが出展している、いよいよ航空自衛隊への配備が始まったF―35ライトニングⅡは見学待ちに1時間の列となり、2016年から相変わらずの人気。また欧米防衛企業の展示した軍用機・搭載兵器、そして支援システムのモックアップ・縮小模型が多くみられた。またブースで流されていた戦闘を再現したデモ映像は、サイバーパンク映画かアニメを彷彿とさせるようなAI兵器や自律型兵器が多数登場していた。フィクションの世界が、次第に現実になりつつあるのかもしれない。
 この傾向からとらえられるに今後ファスナー産業でも、航空宇宙需要を伸ばそうとするうちに知らぬ間に戦争に加担している、という事態が発生した際、感情的には当事者にとって反発が起こってもおかしくはない。日本人には戦争や貧困、差別や政治などといった社会的な事柄に対して、まったく存在しないものと考えて関心すら持たないか、逆に意識してのめり込むあまりに異なる意見の相手とすぐ闘争に突入し、関心を持たない相手は見下す、という二面的な「ナイーブさ」があるからである。冷静で客観的、を名乗っている者すら実は冷静を装うことに冷静さを失っているに過ぎない。
 だが戦争に使われると知っていながら、自分なりの美学や純粋な技術の追及のために、兵器開発にのめり込んだ資本家・技術者も多いのではないか?前者の代表例は中島飛行機(現㈱SUBARU)創設者の中島知久平であり、後者の代表例は宮崎駿監督のアニメ映画「風立ちぬ」で描かれた堀越二郎だろう。
 技術史を紐解いてもイノベーションに、またその下地に兵器が関わっているという事実は多く、また戦争が技術者の才能や熱意を発揮できる場を提供した面も否定できない。現代日本の航空セクターに進出したいメーカーの多くは民需、平和利用でのイノベーションを狙っているが、いずれ「兵器になりうる自社技術」という現実に直面するのではないか。各社の感情論ではない判断が求められる。
 しかし、軍需・民需を問わず、航空宇宙技術が人間の「空を飛びたい」という夢を掻き立てる側面は否定できない。F―35コクピット内の見学に並んでいた来場者の一体何割がわだかまりを持っていただろうか。「平成」の時代、日本が公に戦争に巻き込まれることは避けられたが、願わくば次の元号でもそうあってほしいものである。

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