大阪万博が決定 経済活性化に期待

2018年12月3日

 2025年万国博覧会の開催地に大阪が決まった。55年ぶりの開催だ。開催国にとって五輪や万博といったイベントは、国の発展した姿を示すとともに、国のさらなる経済成長の好材料ともなる。特に、ここのところ東京五輪後の投資物件・景気の成長材料がいまひとつ乏しいとされてきただけに、大阪万博が決定したことで、引き続き希望が持てるというものだ。
 185日間で2800万人の来場者が見込まれる。一日当たり平均で15万人だ。開催前の会場整備・周辺インフラ整備で2000億円以上の支出が、また、開催前と開催期間を含めた経済効果が2兆円と目算される。万博に関わる建築物、交通機関、宿泊施設、サービスなど、公共投資・民間投資の促進が期待できる。
 宿泊施設など、現在でも民泊に頼らざるを得ないほど不足しており、新規の投資が必要な分野だ。大きなイベントで人々が押し寄せれば大阪のホテルは満杯となる。イベントがために、一般のビジネスマンが大阪で宿泊できないようであれば日本経済にとって本末転倒というものであるし、宿泊関連の施設・設備は、これから民間の投資では積極的に進められる分野だ。
 同様に、開催時の交通渋滞の解消策、地下鉄・道路の延伸、橋脚の補強など、自動車道・鉄道関連の投資に期待できる。陸続きのディズニーランドやユニバーサルスタジオと異なり、現在、大阪中心部から開催地「夢洲」まで行くには車で橋を渡るほかない。まずは地下鉄の延伸工事に期待するが、既存の橋についても道路の拡幅工事が必要となるであろう。ラッシュの解消、円滑な都市交通が実現されるよう、新たな交通手段・橋への投資が必要・不可欠であり、景気の浮揚にとって好材料である。
 今回、大阪への誘致において一つ懸念があった。それは、人工島である夢洲の安全性を国際社会がどう評価するか、ということである。先の台風の際に関西空港の滑走路が水没して空港が利用できなくなったことと、陸と空港を結ぶ橋脚が破損したことで乗客たちが数日間空港内に取り残されたことは、大阪への誘致活動にとってはマイナス材料だったはずである。
 そう考えると、こうした状況でも誘致を実現できたということは、どうやら国際社会は日本の復興力・日本経済の底力に期待してくれたようである。東日本大震災から立ち上がったのちの五輪開催地決定に続き、今年、大阪地震・台風21号から立ち上がったのちの万博開催地の決定だ。「災害があっても克服し、国際的なイベントを実行しきれる能力がきっとあるはず」と評価されているのである。ぜひ期待に応えたい。

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