展示会による取引機会の創出

2018年7月9日

 6月20日から3日間、東京ビッグサイト(江東区)で開催の「第22回機械要素技術展」が無事閉幕した。同展・併催展含む「日本ものづくりワールド2018」全体で、今回は2580社・団体(前回は2420社・団体)が出展、8万8679名(同・8万8554名)が来場し、年々着実に規模を拡大している。
 22回も続く同展だが初出展のねじ・ばね関連企業もあり、時評子がブースに訪問し担当者に聞いてみると「来場者の反応は予想以上に良かった。日本でこの期間、この会場が、自社の製品(商品)の良さを分かって、買ってくれそうなユーザー層の〝人口密度が一番高い〟のだから、出展して正解だった」という旨で話しており、同展が業界内で最も重要な展示会という地位を築いているのは確かだ。
 主催者としてはその場で商談・取引成立を目的としているようだが、出展・来場者としては技術動向の調査以外にも、全国の業界関係者が会する貴重な交流の場であり、後々取引につながる〝商売の種を蒔く場〟としての役割も担っている。
 しかし最終日の閉会時間直前、会場ホールの間の通路の端、建屋周辺、会場周辺の道路には、ブースの施工及び関連業者が待機し、閉会して出展社・来場者が会場を後にする中、台車・コンビテナー(カゴ車)を引きながら入って行く様子を見ていると、2020年夏季の東京オリンピック開催に伴い約1年半前から、各種展示会の縮小・中止等の問題が思い出される。ビッグサイトや東京及び周辺だけが彼らの仕事場と限らないだろうが、日本最大規模のビッグサイトでの、大口の仕事(雇用)が失われるのが心配だ。
 主催者によると、来年(次回)は2月上旬のビッグサイト開催で、再来年は2月下旬に幕張メッセ(千葉県)開催となっているが、今のところ全体の内何ホール分使用できるか決まっていない為規模は不明だ。
 話は戻って今回の会期中、同展だけでなく他の展示会にも多く出展している企業も訪問したが、その担当者からは「次回は2018年度であり、年度単位で社内の予算を組んでいるが、融通して2019年度予算とする事で出展可能だった。しかし2月は他の展示会も重なっており、予算は工面できても人員が割けない為、出展を辞退した」と話していた。
 開催時期を変更するだけで、既に影響は出ている。恒例イベントというのは例年同時期、なるべく同じ会場で開催する事に意義があり、今後どうなるかが心配だ。オリンピックは建設・インバウンド(観光)という〝経済効果〟だけでなく、雇用・取引機会を失う〝マイナス経済効果〟もある。出来るものなら仮設でも会場の拡張や、出展の資金援助等、公的機関から何らかの支援がある事を期待したい。

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